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「テレビにいっぱい出ました!でもホントは…」ラグビーの“笑う男”中島イシレリが一瞬だけ語った本音
posted2020/10/27 11:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Atsushi Kondo
来年1月のトップリーグ開幕に備えチームが始動したタイミングでの取材は、少し不規則な形で行われた。アサエリは後日のリモート取材。イシレリとラファエレは、神戸製鋼のクラブハウスで並んでインタビューに応えた。
完璧に日本語を操るイシレリは、通訳をはさむラファエレの問答中も、うなずいたり茶々を入れたりと忙しい。母国のトンガ語だけでなく英語やサモア語も「だいたい分かる」そうで、その茶目っ気たっぷりの“ツッコミ”に、シャイなラファエレはずいぶん助けられていた。
2008年に流通経済大入学を機に来日して13年目。愛妻が日本人ということもあるが、持ち前の言語能力の高さで日本語は「受け答え」のみならず、「読み書き」も進化中だ。今年2月からは日本語でTwitterを始めた。コロナ禍の自粛期間中に公開した動画では、愛息に日本語の絵本を、声色を変えてユーラスに読み聞かせる様子が大好評だった。
「ホントはね、もっとラグビーの話をしたい」
この1年はどうだった? との問いに思わず「テレビにいっぱい出ましたね!(笑)」と即答。熱狂のW杯後は多くのバラエティー番組に出演し、その絶妙な間やお茶目なトークで人気者となった。取材やテレビ出演のオファーはほぼ断らず受けていたそうで、最近ではグルメレポーターや、再現ドラマでの演技にも挑戦。「ラグビーの話をすればいいのかと思っていたけど、最近は色々違う感じになってきました」と頭をかく。
目立つ風貌もあって街中で声をかけられることも多い。
「嬉しいです。だってみんな、ラグビーへの思いがすごく盛り上がっているから。でも正直、ちょっと疲れてるかも」
ホントはね、と続ける。「もっとラグビーの話をしたい。トレーニングの話とか、合宿はどんな感じ、とかラグビーの真剣な話」。真顔となったのもつかの間、目をクリクリとさせてオチをつけた。
「でもね、テレビに出ている食べ物は美味しいね。めちゃめちゃ美味しいよ!」