日々是バスケBACK NUMBER
八村塁、渡邊雄太はBLMにどう対応?
バブルでプレーする2人に聞いてみた。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2020/08/05 20:00
フロリダにある隔離試合施設“バブル”で練習中の八村塁。大会の様々な場面で「BLM」という文字が掲げられている。
渡邊「僕もアメリカにもう6年住んで……」
渡邊はシーズン中断期間をずっと、グリズリーズの本拠地、メンフィスで過ごした。
メンフィスは、公民権運動家マーティン・ルーサー・キング牧師が、遊説中に暗殺された街だ。国立公民権博物館があり、公民権への意識が強い土地柄だ。そんな街でNBAの再開を待つ間に、フロイド事件が起きた。
渡邊は言う。
「僕もアメリカにもう6年住んで、大学でも黒人の歴史の勉強もしました。それが、今でもこういう状況で(人種差別が)続いているというのは、すごく悲しいことです。メンフィスは特に(社会正義の活動に)関連がある場所なので、自分自身も伝えられることは伝えていけたらなって思っています」
選手、コーチたちが真剣に話し合っている状況。
中断中にそれぞれの選手たちが作り出したうねりは、NBA再開のためにリーグ全体がフロリダ州に集まり、“NBAバブル”を作っても続いている。むしろ、22チームの選手たち、コーチたちが集結したことで、さらに大きな流れを作り出している。
“バブル”に来たチームは、チーム内やコーチ同士でミーティングを行って真剣に話し合い、どんな行動を取るべきなのか、アイディアを出し合い、意見をぶつけあっている。試合と同じぐらいの熱意で、この問題にも取り組んでいるのだ。
国歌のときの行動も、その成果のひとつ。1人の選手だけでなく、1つのチームだけでもなく、リーグとして一致団結した行動をするというのが、話し合いの結論だった。
リーグも、そんな選手たちの思いを受け止め、シーズンを再開することで社会正義を訴える声がかき消されるのではなく、逆にさらに大きな声として発信できるような舞台を作ろうとしている。