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ガットゥーゾ直伝の献身性が開花。
ナポリがユーベを破りコッパ優勝。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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photograph byGetty Images

posted2020/06/23 11:40

ガットゥーゾ直伝の献身性が開花。ナポリがユーベを破りコッパ優勝。<Number Web> photograph by Getty Images

コッパ・イタリア優勝でナポリの選手たちに胴上げされるガッドゥーゾ。やはり熱血男には熱いチームカラーが似合う。

デンメの走行距離、何と13km超え。

 守備が強固になれば、逆説的に落ち着いて攻撃できるようになる。

 41分、インテルのCKでボールを掴んだオスピナは、前線にいち早く味方が飛び出していたのを確認しパントキックを放つ。素早いモーションによるキックで放たれたボールは一気に前線左サイドに飛び出していたロレンツォ・インシーニェの足元へ。そこからゴール前まで駆け抜けると、逆サイドをフリーで駆け上がってきたドリエス・メルテンスを確認して、同点ゴールへとつながるラストパスを出す。

 セットプレーのために後方の守備が手薄になっていた相手を攻略するための意思疎通が、選手間でできていたということだ。

 ナポリが再び合計スコアでリード。インテルは後半も得点を奪いに襲いかかってきたが、中央の強固な守備は崩れない。そこからシュートを飛ばされても、オスピナが好セーブで凌いだ。選手全員、現役時代のガットゥーゾが乗り移ったかのようなハードワークで決勝進出をもぎ取った。

 この試合のデンメの走行距離は、何と13kmを超えていた。12kmでも多いとされるのに、驚異的な数字だった。

 4日後、ナポリは勢いを保ち、無観客のローマ・オリンピコでユベントスをPK戦の末に破った。そこでも、選手全員がそれぞれの役割を果たすサッカーを披露した。

オスピナ出場停止を救った23歳メレト。

 この試合、ゴールマウスを守ったのはインテル戦で活躍したオスピナではなく、23歳のアレックス・メレトだった。ミランの守護神ジャンルイジ・ドンナルンマに匹敵する若手として才能を評価されながら、ビルドアップの不安定さと試合中のミスが続きオスピナに序列を譲っていた。

 だが前者の出場停止により出番が回ってくると、大一番に集中力の高いプレーを見せた。5分、パウロ・ディバラの完璧なラストパスからクリスティアーノ・ロナウドにシュートを打たれたが、ゴール右隅を狙ったボールを横っ飛びで掻き出す。

 そして何より38分、カウンターからC・ロナウドがフリーで飛び出してくる絶体絶命のピンチ。ここで勇気を持って前に飛び出し、フィニッシュを受ける前にラストパスをキャッチした。

 ユーベの決定的チャンスはこの1本くらいだった。インテル戦同様、ナポリが徹底した組織守備でピンチを未然に防いでいたからだ。サイドでも、中央でも必ず味方にサポートが付き、数的優位を作る。メレトの前では、カリドゥ・クリバリーと、ニコラ・マクシモビッチが壁を作った。

【次ページ】 まるで2006年W杯アズーリのように。

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