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BCリーグはコロナ禍でどんな準備を?
6月20日開幕「ピンチをチャンスに」
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byROUTE INN BCLeague
posted2020/06/18 07:00
開幕までの準備に奔走したBCリーグとその各球団。さまざまな施策に取り組み、地域やスポンサーとの関係性を強化した。
黒字経営の新潟も新たな施策を。
8年連続の黒字経営と4年連続のNPBドラフト指名、2015年途中でヤクルトに移籍したデニングも含めれば5年連続でNPBへ選手を輩出するなど、安定した経営と実績を残してきた新潟アルビレックスBC。
BCリーグ創設の2007年から参戦するオリジナルメンバーでもあるが、14年目となる今年の事態は当然大きな影響があった。収益の一部を担ってきた野球塾の運営の停止に加え、全体練習も中止に。数多くのスポンサーへの声かけを徹底し、Tシャツ生地でのロゴ入りマスクの販売も行った。
従来から約200項目にも分類した経費管理を行うなど数字の本質を見極めながら身の丈経営をしてきたが、他球団と同様に今年は主催試合のライブ配信も行うなど新たな試みも構想している。池田拓史社長は「選手たちのチャレンジする姿や全力プレーをお届けしたいですし、(NPBに進んだ)OBも頑張っているので彼らに負けぬようやるべきことをしっかりとやっていきたいです」と力を込めた。
NPBより有名な野球選手を作る。
既存にはない形で新たな可能性を探るのは福井ワイルドラプターズだ。活動継続が困難になった福井ミラクルエレファンツに代わり、YouTubeの大人気野球チャンネル「トクサンTV」を運営する企業が出資する新会社を設立。そのノウハウや強みを生かした動画配信、文章・写真などの作品を投稿するウェブサイトであるnoteでの情報発信を積極的に行い認知度や人気向上に注力している。
ここでは紅白戦の詳細や今後の試合のライブ配信はもちろんのこと、選手たちの素顔にも迫っているのが大きな特徴だ。
リーグ運営会社から球団に出向している小松原鉄平社長はビジョンを次のように語る。
「どうしても独立リーグは“NPBに選手を輩出する場”と捉えられがちですが、“地域になくてはならない存在になる”ということを最も大切にしないといけません。例えばトクサンはBCリーグの選手よりは競技レベルは低いけどNPB選手をも上回るような知名度と人気があるわけです。それを考えれば、僕らだって“NPBより有名な野球選手を作る”ということだって可能なんじゃないか。愛されるチームになれるんじゃないか。そのように考えています」