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メッシvs.久保建英で見えた共通点。
「ボールを蹴る喜び」は普遍の才能。
posted2020/06/17 11:50
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
リオネル・メッシの時代は、いったいいつまで続くのだろう。
6月24日の誕生日で33歳になる。メッシとて人間だから、忍び寄る「老い」の気配を押し返すことはできても、完全に阻止することは不可能だ。黄昏時はきっと、夜陰に紛れるようにして静かに訪れる。
マンネリを嫌い、新しいスターを求めるメディアは、だから次から次へと「ポスト・メッシ」の候補者をリストアップしては、「その時」に備えている。とりわけこの2、3年は、年齢だけを判断材料にメッシの限界点を割り出そうとする報道が増えたように思う。
しかしながら、そんな彼らも薄々は気づいているはずだ。
今のサッカー界に、メッシの存在を脅かすほどの若手など見当たらないことを。きらめく才能はいくつか発見しても、それを「規格外」と呼ぶには少しばかり下駄を履かせる必要があるだろう。
少なくとも、この稀代のスーパースターがすっかりゴールから遠ざかり、ピッチの上で虚ろな視線を漂わせている姿を想像するのは、現時点ではかなり難しい。
久々の公式戦で1ゴール・2アシスト。
新型コロナウイルスの感染拡大で中断されていたラ・リーガが、およそ3カ月ぶりに再開された。現地時間6月13日、マジョルカの本拠地ソン・モイスに乗り込んだバルセロナの再開初戦を見ればなおさら、メッシの時代は向こう3年どころか、それこそ永遠に続くのではないかとさえ思えてしまう。
1ゴール・2アシスト──。37分にマルティン・ブライスワイトのバルサ移籍後初ゴールを珍しく「頭」でつないでアシストすると、79分には回転も軌道も計算し尽くされた浮き球のパスでジョルディ・アルバのゴールを導き出す。
そして迎えたアディショナルタイム、左サイドから小刻みなステップで内に切れ込んだ千両役者は、自らの右足でダメ押しの4点目を突き刺してみせるのだ。