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プロ野球がいよいよ開幕。
松井稼頭央がコロナ後に求める変化とは。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byBS Asahi

posted2020/06/17 11:00

プロ野球がいよいよ開幕。松井稼頭央がコロナ後に求める変化とは。<Number Web> photograph by BS Asahi

新しい練習スタイルを提案できる好機に。

 例えば、今回の分離練習。午前組は8時半から12時半が練習時間で、準備などを考えると、体感としては3時間半ぐらいしかない。この時間内でいろいろなトレーニングをするとなると、ときには分刻みでメニューをこなす必要がある。そういうことって今までなかったんですよ。

 最初はマイナスにも思えましたが、この練習方法だと、選手も残り時間を意識し、逆算して、次に何をしなきゃいけないと考えるようになるんですね。結果、ひとつひとつの動きがキビキビするようになったし、練習への集中力や質が上がっているという手応えがありました。

 今までは、練習ひとつとっても「野球はこういうものだ」と凝り固まっていたところがあったと思うんです。でもコロナを機に新しい練習のスタイルが提案できるんじゃないか。そう思って、今スタッフやコーチとも打ち合わせを重ねています。

こんな時だからこそ変化を恐れず!

 そもそも、本来なら去年と今年の練習が全く同じメニューになるはずがないんです。でも今までは、どこかで流れを大きく変えることへの抵抗があった。だけど、これからは僕たちも、選手も、良いものを取り入れるんだという気持ちで、新しいことに挑戦をしていかないといけないでしょう。一人一人の意識が変われば、さらに効率がよくなるでしょうし、より集中して練習できるんじゃないかと思っています。

 野球に限らず、長く続けていると、色々なことを自分の中で決めつけてしまいがちです。だけど新しいものを受け入れるということは大切だし、いくつになっても、そういう柔軟な気持ちは持っていたい。

 こんな時だからこそ変化を恐れず、ファンの方に熱くなってもらえるような試合を今シーズンは繰り広げていきたいと思っています。

松井 稼頭央Kazuo Matsui

1975年10月23日、大阪府生まれ。PL学園高では1年生から投手として活躍し、甲子園は2年時のセンバツに出場。1993年ドラフト3位で西武ライオンズに入団。入団後に強肩・俊足が評価されて内野手に転向して、スイッチヒッターとなる。3年目に遊撃手のレギュラーに定着し、1997年から3年連続で盗塁王に輝く。2002年にはスイッチヒッターとしては史上初となるトリプルスリー(3割・30本・30盗塁)を記録。2003年オフにニューヨーク・メッツへFA移籍。2007年にはコロラド・ロッキーズでワールドシリーズに出場した。2009年に日米通算2000本安打を達成。2010年11月に東北楽天ゴールデンイーグルスに入団し、2013年にはチーム創立後初の日本一に貢献。2018年に古巣である埼玉西武ライオンズで引退を表明。25年間のプロ選手生活に終止符を打った。2018年オフ、埼玉西武ライオンズの二軍監督に就任した。

ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第112回:松井稼頭央(野球)

6月19日(金) 22:00~22:24

今回は開幕直前プロ野球スペシャル。埼玉西武ライオンズ・松井稼頭央二軍監督、千葉ロッテマリーンズ・井口資仁監督、福岡ソフトバンクホークス・松田宣浩選手、メジャーリーグで活躍する田中将大投手、前田健太投手の言葉と美学がクロスします。コロナ渦による活動自粛という初めての経験の中で、松井監督が選手たちに掛けた言葉とは? 番組では彼らを「強く、美しくする」言葉を紹介。松井監督がそれぞれの選手や言葉に対する印象を語る貴重映像も放送します!

第113回:マンスリースペシャル

6月26日(金) 22:00~22:24

今月は番組初のオンラインでの収録を敢行! 第110回から第112回で放送した中澤佑二さん×熊谷紗希選手のサッカー対談、朝原宣治さん×木村文子選手の陸上対談、野球・松井稼頭央 埼玉西武ライオンズ二軍監督インタビュー。マンスリースペシャルでは出演者たちが今改めて伝えたいスポーツが持つ力や今回のコロナウイルスの影響で活躍の場を失ってしまった次の世代へのメッセージをはじめ、未公開シーンを含む総集編をお届けします。

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