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このご時世にバルサ役員6人辞任。
バルトメウ会長が窮地に陥った醜聞。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/04/18 08:00
セティエン監督(左)就任とバルベルデ前監督解任の経緯でもひと悶着あったバルサ。バルトメウ会長はこの難局をしのげるのか。
横領を疑った内部統制チーム。
監査結果は本原稿を書いている時点では公表されていないが、内部統制チームに属していたルソーは不正が行われたことを確信しており、横領さえも疑っている。
「市場価格が10万ユーロの仕事に対して100万ユーロ払っていたら明白だろう。誰かはわからないけれど、役員会のなかにいる」
これは、辞任後に出演したラジオ番組での発言である。
4月7日の夜、そのルソーの電話が鳴った。相手はバルトメウだ。
「役員会を再編したいから私を始めとする4人に辞めてもらいたいとのことだった。その理由は2つ。まずは『メディアの前で選手が気を悪くする話をしたから』と言われたが、これはまったくの嘘だ。次に『幹部役員を批判した』と言われたので、それが誰のことか尋ねたが返答されなかった」
選手が気を悪くする云々は、前回コラムで取り上げた給料減額に関することで、70%減に対してルソーが「減収分を補うのに十分ではない」と言ったことを指している。だがルソーいわく、そう主張したのは選手側との交渉を始める前の役員会においてだという。
おまけに選手はクラブ側から持ちかけられた70%減に同意したのだから、「十分でない」を選手に対する非難とするのも理屈に合わない。
会長と顔を突き合わせるはずが。
よって、幹部役員批判ともどもバルトメウのでっち上げだと、ルソーはいう。
しかし翌日、地元紙の取材に「会長と顔を突き合わせて話をした後、シーズンが終わる前に辞めるだろう」と語った。
それが結局は9日、6人が辞任することとなった。
辞任を勧告された一同は、そんな大事な話を新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出禁止中のいま、電話で済ませようとするバルトメウの態度や、電話の内容をクラブの誰かがメディアに洩らしたことに我慢ならなくなったらしい。
ちなみに、ルソーによると4人は皆企業家が本職で数字に強く、バルサゲートの真相究明を熱望しているという共通点がある。