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「なぜダフらなかったのか…」中山雅史の頭から離れない“幻のゴール”とは?【4戦連続ハットトリックから23年】

posted2021/04/29 11:04

 
「なぜダフらなかったのか…」中山雅史の頭から離れない“幻のゴール”とは?【4戦連続ハットトリックから23年】<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2021年1月、事実上の現役引退を決めた中山雅史。53歳まで走り続け、多くの記録を残した

text by

北條聡

北條聡Satoshi Hojo

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

23年前の4月29日、ジュビロ磐田の中山雅史選手が4試合連続ハットトリックのギネス記録(当時)を達成しました。それを記念し、希代のストライカーが自らの記憶に残り続ける“幻のゴール”について語った記事を特別に公開します。
初出:「Sports Graphic Number 1001号」(2020年4月16日発売)<生涯一ストライカーの回想>中山雅史「今も追い続ける“幻のゴール”」(肩書等すべて当時)

 Jリーグで157、代表で21ものゴールを積み上げても、なぜか忘れられないのはわずかの差で決めきれなかった1本だ。22年前の6月、快晴のナントのピッチで当時30歳のがむしゃらなストライカーに中田英寿から最高のパスが届いた――。

◆◆◆◆◆

 生涯最高のゴールは、ない。

 日本サッカー界を代表するストライカーだった中山雅史に――である。

 いったい、どういうわけか。

「あれが決まっていたら生涯最高のゴールと言えたんですけどね。それが言えないから、ずっと追い求めることになったんですよ。現在に至るまで」

 御年52歳。いまも現役だ。

 一度はスパイクを脱いだが、2015年9月に現役復帰を表明。アスルクラロ沼津(J3)に在籍しながら、若者たちと一緒にボールを追いかけている。

 それこそ、あの日、あの時、あの場所で決め損ねた「幻のゴール」を追い求めるかのように。

 中山は、記録の人だ。

 何しろ、ギネス記録を2つもつくった。1つはハットトリック(1試合3得点)の連続試合記録(1998年のJ1リーグで4戦連続)で、もう1つは国際試合におけるハットトリックの最短記録(3分15秒・2000年の日本対ブルネイ戦)だ。

 前者の記録は2016年11月にステファン・ルチヤニッチに抜かれたものの、後者の記録は現在もなお破られていない。もっとも、本人に言わせればこうだ。

 「キックオフから3分で3点取れたのに、それで打ち止め。ブルネイが点を取られたあと、速やかに試合を再開してくれたからこそ成立した記録ですよ」

1.33という1試合平均の得点率は驚異的

 点取り屋の勲章とも言うべきJリーグの得点王は2回だが、うち1回は1シーズン最多得点記録。27試合に出場し、36得点を積み上げている。総得点の数もさることながら、1.33という1試合平均の得点率は驚異的なものだった。

 J1リーグ通算157得点は歴代3位。2016年3月に佐藤寿人に抜かれるまでは、J1通算最多得点記録保持者だった。ちなみに、総得点の約7割が30歳を過ぎてからのものだ。

 何しろJリーグ初得点は25歳のときである。筑波大からヤマハ発動機(ジュビロ磐田の前身)に加入したのが1990年。プロ化前夜のJSL時代を生き抜き、プロ化以降の日本サッカー界を引っ張る役回りを担うことになった。

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