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生粋のリーダーなのに超野球小僧。
鈴木大地が楽天に与えるプラス要素。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byGenki Taguchi

posted2020/02/16 12:00

生粋のリーダーなのに超野球小僧。鈴木大地が楽天に与えるプラス要素。<Number Web> photograph by Genki Taguchi

内野なら全ポジションをこなす鈴木大地。2017年には二塁手としてゴールデングラブ賞も獲得した。

生粋のリーダーという期待。

 楽天1年目のキャンプ。鈴木はとにかく笑顔が多い。もちろん、ハードな練習で苦悶の表情を見せる瞬間はあるが、根本では楽しんでいるようにさえ感じるほどである。

 沸き起こる熱。理由を挙げればそこだ。

「(渡辺)直人さん、藤田(一也)さん、銀次さん、(岡島)豪郎……楽天は年長者が率先して声を出すチームだなって。そういう雰囲気に1日でも早く馴染みたいなと思ってキャンプに入りましたけど、僕としてはすぐに馴染めたと思っています。

 真剣にやらないといけないメニューもあるけど、明るくやったほうが辛い練習も乗り越えられるんで、自分からも『もっと盛り上げていきたい!』という気持ちはありますね」

 鈴木は生粋のリーダーだ。

 ロッテ時代に主将と選手会長を務め、強い求心力も相まって、ファンからも「大地」と親しまれた。そんなロッテを象徴していた男が、昨年、FA権を行使し、新たな野球人生のスタートの場として楽天を選んだ。

 鈴木を口説き落とした石井一久GMが言っていたように、「若い選手に背中を見せてほしい」と期待を寄せる人間は多い。

「溶け込む」というレベルの選手じゃない。

 だが、当の本人の意識は少し違う。

「そういう評価はみなさんにしていただければいいことで、僕は楽天で、またイチから新しいものを築いていきたいんです」

 そう誓い、新天地での未来に胸を躍らせる。

 声を張り、白球を追う。ユニフォームを汚し、汗だくになりながらバットを振る。そんな鈴木の姿はまるで、野球小僧のようだ。

 チーム内にもそう感じている選手がいた。

 ロッテ時代の鈴木と同じように「ナオト」とファンから愛され、チームの精神的支柱として今季から選手兼一軍打撃コーチの役割を担う渡辺直人が、彼の資質を見抜く。

「大地は『チームに溶け込む』とか、そういうレベルの選手じゃない。すでに人間的なものとかが備わっているから。それは、キャンプで見ていても感じますよ。

 みんなは『キャプテンシーがある』とか言いますけど、それ以前に大地は、本当に野球が好きで、楽しんでいるなってことがすごく伝わってくる。だから、あそこまでの選手になれるんですよ。本当にいいお手本だし、若い選手は大地のそういう姿を見て、もっともっと、野球に打ち込んでほしいですよね」

【次ページ】 もう一度、野球小僧に戻って。

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