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選手・野村克也の偉大過ぎる記録。
出場数2位の打てる捕手&走塁上手。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKatsuro Okazawa/AFLO

posted2020/02/13 11:50

選手・野村克也の偉大過ぎる記録。出場数2位の打てる捕手&走塁上手。<Number Web> photograph by Katsuro Okazawa/AFLO

南海ホークス時代の野村克也氏。NPB史に残るスーパープレーヤーだった。

日米の捕手出場数を比較してみる。

<MLBの捕手出場試合数5傑>

1.イヴァン・ロドリゲス 2427試合
2.カールトン・フィスク 2226試合
3.ボブ・ブーン 2225試合
4.ゲイリー・カーター 2056試合
5.ジェイソン・ケンドール 2025試合

 2000試合出場した捕手はこの5人だけ。今季、カーディナルスのヤディア・モリ―ナ(現時点で1947試合)が6人目になるかもしれない。

<NPBの捕手出場試合数5傑>

1.谷繁元信 2963試合
2.野村克也 2921試合
3.伊東勤 2327試合
4.木俣達彦 1998試合
5.古田敦也 1959試合

 2000試合以上は3人だけ。その中でも谷繁と野村が傑出しているのがわかる。谷繁は捕手以外では一塁手で1試合出場しただけ。野村も一塁を6試合、外野を3試合守っただけで、あとはすべて捕手だった。

 スタメン出場に限定すれば、野村は2838試合、谷繁は2665試合。野村の方が上に来る。

 この2人の「持久力」は驚異的だが、1つ注釈をつけるとすればこの2人はともにプレイングマネージャーだった時期がある(古田もだが)。「キャッチャー俺!」という起用が可能だったことは言っておくべきだろう。

王に次ぐ長距離砲としての金字塔。

 試合数ではわずかに谷繁に届かない野村だが、その出場試合にバットで残した記録に限定すれば、その差は明らかだ。

 野村克也
 2901安打 657本塁打 1988打点 打率.277

 谷繁元信
 2108安打 229本塁打 1040打点 打率.240

 そして野村は捕手という枠を取り払っても、屈指の強打者だった。強打者の全盛期10シーズンに限定した打撃成績を本塁打数順に並べてみよう。

1 王貞治 493本塁打
1304試 4262打 1380安 1143点 率.324
2 野村克也 393本塁打
1357試 4917打 1447安 1069点 率.294

3 山本浩二 374本塁打
1289試 4575打 1418安 996点 率.310
4 落合博満 371本塁打
1265試 4408打 1438安 1034点 率.326
5 田淵幸一 361本塁打
1179試 4015打 1085安 831点 率.270
6 T.ローズ 360本塁打
1316試 5016打 1428安 993点 率.285
7 門田博光 352本塁打
1212試 4189打 1242安 937点 率.297
8 大杉勝男 346本塁打
1286試 4751打 1420安 982点 率.299
8 A.カブレラ 346本塁打
1142試 4170打 1292安 911点 率.310
10 A.ラミレス 336本塁打
1414試 5625打 1717安 1109点 率.305

 王の記録が飛びぬけているが、野村はそれに次いでいる。三冠王3度の落合や、この度殿堂入りした田淵など、並み居る長距離打者を抑えている。

 全盛期の10シーズンで、平均してほぼ40本を打つというのは驚異的なことである。8年連続本塁打王、通算9回の本塁打王は、13年連続本塁打王、通算15回の王貞治に並ぶ金字塔だといえよう。

 何度も言うが、野村はこの数字を捕手の重責を担いながら、そして1970年からは監督を務めながらたたき出したのだ。

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野村克也
南海ホークス

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