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五郎丸歩とも田村優とも全然違う。
ダン・カーターの独特なキックとは? 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph bySportsPressJP/AFLO

posted2020/02/12 18:00

五郎丸歩とも田村優とも全然違う。ダン・カーターの独特なキックとは?<Number Web> photograph by SportsPressJP/AFLO

テストマッチでの世界最多記録となる1598得点を誇るダン・カーター。神戸製鋼でもそのプレースキックは重要な得点源だ。

若いときから変わっていない。

 来日1年目となった昨季、チームを15シーズンぶりに優勝に導いてトップリーグ年間最優秀選手賞を獲得。2連覇を目指す今季も開幕から4連勝中だ。3月で38歳を迎えるダン・カーターは今なお健在である。

 彼のプレースキックには一体どんな特徴があるのか。

 栗原はリスペクトをこめて「ただただカッコいい。若いときから変わっていませんから」と前置きしてから語り始めていく。

「世界的に見てもこういう蹴り方の人は少ない」

「短い距離では軽く蹴りますが、距離が伸びてくるとボールをセットして真横に近い角度に、レフティーですから右から入って左足を振っていきます。(インパクトの瞬間は)上体を倒し気味に、軸足をひねって蹴り足を振り抜く。真横からの入り方なので(右方向に)引っ張るというイメージの蹴り方。

 これはダン・カーター独特のキックであって、世界的に見てもこういう蹴り方の人は少ない。というのも足に相当な筋力がないと成立するのが難しいし(足に)ストレスも掛かってしまう。

 実際、2011年のワールドカップでは大会期間中にキックの練習で内転筋を痛めてしまったというのもちょっと頷けるところはあります。しかしこれで彼は世界を極めてきたわけなので、ずっとこの蹴り方を彼なりに磨いてきたのだと言えます。

 実は僕も何回か練習で真似したことがあるんです。でもダン・カーターのようにうまく引っ張れない。真横に近い角度から入るのでどうしても窮屈な蹴り方になってしまいますから」

 真横に近い角度から入って、遠心力と筋力を使ってボールを引っ張る技術。

【次ページ】 筋力的にこの蹴り方が難しくなってきた?

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