サポーターの寵愛を受けながら。

　スタジアムを出て、荷物を取りに宿泊していたホテルへ戻ると、さっきのフロントのおじさんが妙齢の女性と英語でなにやら話しています。

「ちょっとお聞きしてもよろしいかしら？　とっても重要なことなの」

「なんでしょうか、お客様」

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「このホテルのテレビで、アメリカンフットボールの試合は観られるかしら？　今日の夜に大切な試合があるのよ」

　アメリカ時間の2月2日に、フロリダ州マイアミガーデンズの「ハードロック・スタジアム」でスーパーボウルが開催されるのを、そのときに知りました。でも、フロントのおじさんはつれない態度です。

「それは分かりませんね。このホテルのテレビで映るのか、そもそもドイツのテレビ局で放送するかどうかも分かりません。お調べしますので、少しお待ちいただけますでしょうか？　ちなみにアメリカンフットボールではなくて、先ほど終了したフットボールのゲームならば、引き分けの結果だったことは知っているんですがね」

　フロント係のおじさんはそう言うと、僕の方を向いてニヤリと笑い、左目でパチンとウインクをしました。

　何度倒れても凛とした姿で立ち上がる宮市亮は、自由ハンザ都市ハンブルクに住むサポーターたちの寵愛を受けながら、明日以降もまた、その真摯な思いを胸に秘め、全身全霊を懸けて闘い続けることでしょう。