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大相撲初場所の見どころは?
高き壁・白鵬に朝乃山、高安ら挑む。
text by
荒井太郎Taro Arai
photograph byKyodo News
posted2020/01/11 20:10
朝乃山(左)が出稽古に来た高安(右)と向き合う。ふたりとも仕上がりは上々とのこと。
横綱鶴竜は「年6場所皆勤」目標。
対照的に2場所連続休場から再起を期す横綱鶴竜は「年6場所皆勤」を今年の目標に掲げる。しっかりと土俵を務めれば、優勝回数もおのずと積み重ねることができるということだろう。
稽古総見では遠藤、御嶽海、大栄翔を相手に計12番を完勝。翌日も出稽古先の時津風部屋で同じく出稽古に来ていた新関脇朝乃山と10番を取って全勝だった。
低く鋭い立ち合いから左前褌を取って相手の右差しを封じ込めながらの攻めは相変わらず力強い。3場所ぶりの賜盃奪還に向けて充実ぶりがうかがえるが、場所では1つの黒星をきっかけに大きく崩れることも珍しくなく、そのあたりが気がかりだ。
朝乃山は一気に大関取りムードへ。
1月場所最大の注目は三役での連続2桁勝ち星を目指す朝乃山だ。
新三役の先場所は白鵬と優勝を争って11勝。今場所は大関取りに向けて足場をしっかり固めたいところ。場所前は前述した鶴竜や元横綱稀勢の里の荒磯親方との稽古で“惨敗”を喫したが、それも決してマイナスではない。「馬力だけでは勝てない。前傾姿勢で体を起こさないように意識しないと。悪いところを少しずつ直していきたい」と貪欲に語る。
横綱を倒してハイレベルの結果を残せば、一気に場所後の大関取りへとムードも高まるだろうが「一日一番しっかり自分の相撲を取り切ることだけ考えている。常に挑戦者の気持ちで挑む」と気負いはない。
朝乃山相手に堂々の押し相撲。
優勝争いに絡みそうなのが大関貴景勝と関脇高安だ。
大関復帰を果たした先場所は9勝に終わった貴景勝だが、稽古総見では朝乃山を相手に10番を取って6勝4敗。内容的にも四つに組ませず押し込むなど優勢だった。
1月8日、尾車部屋で行われた二所一門の連合稽古でも高安と10番肌を合わせ、相手の強烈なかち上げにも上体が起きることなく、下から押し上げる本来の相撲を取り切った。