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リスグラシューにアーモンドアイ。
海外GI馬と凱旋門賞組にある違い。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/01/03 08:00
レーン騎手を背に豪GIコックスプレートを制したリスグラシュー。有馬記念でも特例でコンビは継続、見事に勝利を挙げた。
海外で「日本馬は強くなった」。
そして、末尾を飾ったのが12月の香港国際レースだ。
グローリーヴェイズが香港ヴァーズ(GI、芝2400メートル)を勝つと、アドマイヤマーズは香港マイル(GI、芝1600メートル)を、そして春に続いて香港へ渡ったウインブライトが香港カップ(GI、芝2000メートル)を制覇。1日4つあるGIのうち3つを日本馬が優勝し、冒頭で述べたように1年間の海外でのGI勝利数を新記録となる8つに伸ばした。
「日本馬は強くなった」とは現在、世界中のホースマンが合言葉のように口にしている。実際、この結果をみればそう言われるのも頷ける。日本ではGIを勝てていないウインブライトやグローリーヴェイズが海外でGIを制した事実からも説得力があると言えるだろう。
マスターフェンサーの善戦ぶり。
また、勝利にこそ届かなかったものの、クルーガーはクイーンエリザベスS(オーストラリア、GI、芝2000メートル)でかの地の歴史的名牝ウィンクスの2着に好走した。
マスターフェンサーもアメリカの3歳最高峰決定戦であるケンタッキーダービー(GI、ダート2000メートル)に挑んで僅差の6着に善戦すると、続くベルモントS(GI、ダート2400メートル)でも5着。勝つ事こそ出来なかったものの、現地でもダークホースとして取り上げられるほど注目された。
とくにマスターフェンサーは日本競馬とは異質と評されているアメリカのダート路線での好走であり、これこそが日本馬のレベルアップを如実に物語る結果とも思われた。
しかし、同時に2019年のこの結果だけをもって日本馬が世界一強いと決めつけるのも少し違う気がする。2019年は海外GIで8勝もした日本馬だが、その前年の2018年はただの1頭も海の向こうで勝利する事は出来なかった。そもそも2019年も凱旋門賞では全く歯が立たないと言わざるを得ない結果に終わってしまった。