オリンピックへの道BACK NUMBER
東京五輪がラグビーW杯から学ぶこと。
合宿のおもてなし、持ち込みルール。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/11/17 20:00
当初は飲食物は持ち込み不可だったラグビーW杯。だが、スタジアム内の食品の売切れが続出したことで、開幕から3日後に食べ物の持ち込みを解禁した。
ウェールズは朝刊に広告を掲載。
また、4位になったウェールズが事前に合宿を行なった北九州市では、練習に1500人もの観客が押し寄せ、ウェールズ国歌を歌うなどして激励した。のちにウェールズは毎日新聞の朝刊に感謝の広告を掲載し、それに答える形で北九州市もウェールズの地元紙にお礼のメッセージ広告を掲載するやりとりがあった。
これらのように、チームが訪れた各地では手厚い歓迎とサポートがあった。それが海外からの高い評価の要因となった。
また、いざ試合となれば、日本以外のゲームでも、戦っているチームを応援する姿があった。各国のユニフォームに身を包み、応援する観客の姿も多く見られたし、ファンゾーンでも日本人が海外から応援に訪れた人と交流する姿があった。どの国であっても、国を問わずだ。
五輪にもつながる「ノーサイド」。
そうした姿勢は、スタジアムで試合後に見られる、対戦国同士の選手が互いをたたえる姿とも重なる。それが報じられるごとに、「ノーサイド」の精神が観る人々の間にも広がった、そんな印象があった。グラウンドの内外にあったのは、互いを称える、尊重する姿勢だった。
それは、来年に開催されるオリンピック・パラリンピックにもつながる部分がある。
オリンピックやパラリンピックは、より多くの国々が参加し、応援する人たちが日本を訪れる。それらの国々は、それぞれに異なる部分があるのは否めない。親近感、認知度などにおいて差はおそらくはある。
それでもホストとして、訪れる人々に応対することができるかが、大会の成否の一因として大きな要素になるのではないか。