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ルーキーの豊作とFA市場の萎縮。
大物よりも有望株にシフトするMLB。

posted2019/09/14 08:00

 
ルーキーの豊作とFA市場の萎縮。大物よりも有望株にシフトするMLB。<Number Web> photograph by Getty Images

9月12日時点で47本と本塁打数トップに立つピート・アロンソ。綽名(あだな)は「白熊くん」。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 大坂なおみ(テニス/1997年10月生まれ)、渋野日向子(ゴルフ/1998年11月生まれ)、サニブラウン・ハキーム(陸上/1999年3月生まれ)……20歳前後のアスリートがいろいろな分野で活躍している。基礎体力の向上、スポーツ医学の発達、コーチ術の進化。要因はいくつも考えられるが、この現象は日本に限られたわけではない。

 大リーグでも、昨季から今季にかけて、20歳前そこそこの若手の台頭が著しい。

 2018年は、大谷翔平('94年7月生まれ)とロナルド・アクーニャJr.('97年12月生まれ)が両リーグの新人王に輝いた。両者以外にも、ホアン・ソト('98年10月生まれ)、グレイバー・トーレス('96年12月生まれ)、ミゲル・アンドゥーハー('95年3月生まれ)など、素質豊かな新人がつぎつぎと出現した。

 シーズン序盤に肩の手術で離脱したアンドゥーハーを除いて、彼らはほぼ順調に伸びている。大谷の場合(9月10日現在)、昨年に比べてOPSがかなり下がっている(.925→.846)のは気がかりだが、まだまだ発展途上と考え、長い眼で見ていきたいと思う。

MVP級の活躍を見せる「白熊くん」。

 この流れを受け継いだのだろうか、2019年シーズンも、新人選手の活躍が眼を惹く。

 最大の惑星は、なんといってもメッツのピート・アロンソ('94年12月生まれ)だろう。9月10日現在、アロンソは両リーグ最多の47本塁打を放っている。コーディ・ベリンジャーやクリスチャン・イェリッチ(ともに44本)といったMVP級選手を上回る数字だけに、これは立派だ。

「白熊くん」の綽名にたがわぬ体型だが、打率2割6分8厘、出塁率3割6分6厘、長打率5割9分4厘という数字もバランスが取れている。ナ・リーグ新人王争いのライバルだったパドレスのフェルナンド・タティースJr.('99年1月生まれ)が故障で離脱しただけに、タイトル獲得はかなり有力になった。

 離脱したタティースも、本当に新鮮な選手だった。8月13日まで84試合に出場して、317/379/590、22本塁打、16盗塁の好成績。父のタティースも20世紀末にカーディナルスなどで活躍した人だが、故障さえ治れば、息子にはさらなる伸びが期待できる。

【次ページ】 レイノルズはイチローらに並べるか。

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