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久保建英デビュー戦を象徴する写真。
18歳とは思えない味方への指示出し。
posted2019/09/13 20:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
9月1日、地中海に沿って南西に3時間。AM10時発の電車でバルセロナからバレンシアに向かう。
バルセロナ在住のサッカーライターが2名、この電車に乗っていた。
到着駅で待ち合わせ、パエージャの名店に向かう。
マドリード在住の記者、さらには日本から訪れた記者とも合流し、鶏肉やウサギ肉を使った、バレンシア風パエージャを頼む。
前菜を摘みながらの話題は、1つにつきた。
レアル・マドリー・カスティージャからマジョルカに移籍した久保健英がこの日、リーガデビューするかどうか、である。
長年バルセロナに住み、リーガ・エスパニョーラを撮影してきた者として、またバルサのカンテラ時代の撮影もしていた者として、 彼にとってスペインでの第一歩となるかもしれない試合を、カメラマンとして撮影する――。ピッチでその時を窺った。
強い日差しに晒されるメスタージャ。
久保のリーガデビューとなったバレンシア戦はバレンシアのホーム、メスタージャで現地時間17時にキックオフされた。
この時期、スペインの日没時刻は20時半近い。
両チームの選手が入場したメスタージャのピッチは、メインスタンドにだけある屋根が落とす影以外は強い日差しに晒されていた。
気温は30度を超える過酷なコンディション。熱中症対策として多くの観客が事前に配られた『La Liga』と記された白い帽子を被った景色は見慣れないものだった。
久保はピッチより数度は気温が控えめな、日陰にあるベンチからのスタートとなった。
選手入場からキックオフの笛が鳴るまでの数分間、この時だけがカメラマンに認められている、ベンチ周辺を撮影できるタイミングである。
この時点では、久保の途中出場の有無は分からず、出場しないのであれば久保を撮影できるのはこの時だけだった。