フランス・フットボール通信BACK NUMBER
地中海に浮かぶ小さなフヴァル島は、
“世界一のサッカー濃度”を誇る土地。
text by
ギヨーム・バルーGuillaume Balout
photograph byFacebook Nogometni Klub Hvar
posted2019/08/24 18:00
フヴァル島で最も成功したクラブであるNKフヴァルの選手たち。大陸側のリーグにまで進出したこともあるが、現在は島のリーグにて戦う。
とはいえ経営的には不安定なクラブが多い。
今日でもクラブの財政状況は芳しくはない。
たとえばルバンダのユニフォームは、ベロ・グラブリエ村の出身で現在はウディネーゼの監督を務めるイゴール・トゥドール(元クロアチア代表)からの寄贈である。クラブの予算は極めて限られている。
NKフヴァルとともにユースチームを持つ唯一のクラブであるスタリー・グラードは、年間予算3600ユーロの4分の3を地方公共団体からの援助で賄い、残りを主催するダンスパーティーの収入で補填している。試合の入場料は無料、クラブの登録料も同様とあっては、収入はほとんど見込めない。他方でリーグは、レフリーと役員の報酬として年間2000ユーロの拠出を各クラブに課している。
「この分担金は、郡の1部リーグと2部リーグでは、それぞれ4000ユーロと2700ユーロになる」と、ディノ・クネゾビッチは言う。
今季、リーグは新たに国内家電メーカーとパートナーシップを提携し、それにより6600ユーロの収入を得たのだった。とはいえ、それでもなお財政危機は解消してはいない。
だからといって郷土意識が強く本土とのリーグ統合は、依然としてタブーである。リーグはチーム数を10から6に減らすことを検討しているが、そうなるとじり貧の感はぬぐえない。
未来は不確かで不安定。
それでも生き残ったクラブは、安住の地を求めて本土へのフェリーに乗らねばならないのだろうか。