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西武ドラ1、松本航は生真面目だ。
一軍ローテ定着へ「もっと余裕を」。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/05/30 07:30
5月19日のオリックス戦でプロ初登板初先発で初勝利を飾った。西武の新人投手では松坂大輔以来20年ぶりの快挙だ。
プロ入り後は悔しさばかりが募る。
何もできない状態が歯がゆかった。
「一軍の試合ですか? 少し熱が下がってからは、めっちゃ見ていましたね。とにかく暇だったので……(苦笑)。大学時代に見ていたときよりは現実味がありました。すでにライオンズの一員という立場でしたから。
試合を見ながら『自分だったらこういう攻め方をしたいな』とか、自分の持ち球と照らし合わせて『自分だったらこの場面でなにを投げるかな』とか。イメージトレーニングになったかどうかわかりませんが……。ただ、見るだけでもつかめた感覚はありました。いちばんは失投の怖さですよね。コースをちょっとずれただけで痛打されるんだな、と」
穏やかな性格で、負の感情をあまり表情に出さない松本だったが、悔しさは人一倍感じていたという。
「プロ入りしてからは順調にいかない悔しさばかりでしたね。キャンプは練習についていくことに精いっぱいで、その上、自分の体調管理不足で離脱してしまいました。
一軍は、そりゃあ、もう憧れでしたし、雲の上の場所だと思っていたので、そのせいでいっぱいいっぱいになってしまって、視野も狭くなっていたと思います。離脱してから改めて、冷静に自分と向き合えた気もします。我に返って自分を見つめることもできました」
人一倍強い責任感から気負ってしまい。
即戦力と期待されたことも、知らず知らずのうちに重圧になっていたようだ。
「離脱してからもですけど。『内海さん、榎田さん、松本が戻って戦力が整えば』みたいに、記事になるときは3人一緒でしたから。恐れ多いので『ひとくくりにするのはやめてくださいよ』って感じです(笑)。おふたりとは実績も経験も違いますから」
責任感が人一倍強いからこそ、気負ってしまった部分もあった。
「昨年のドラフトは高校生の1位指名が多い中で、自分は大学で、一本釣りしてもらいました。その期待の大きさも感じていたし、その期待を力に変えなきゃいけないと思ってやってきました」
生真面目な性格が悪いほうへ影響してしまったルーキーイヤーの序盤だった。