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酒井高徳が悩み抜いて選んだ道。
2つのルーツと、代表を退く決断。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2019/04/24 07:00

酒井高徳が悩み抜いて選んだ道。2つのルーツと、代表を退く決断。<Number Web> photograph by AFLO

熱心なサポーターと喜びを分かち合う酒井高徳。代表から去った後もクラブに欠かせない選手として力を発揮している。

日本代表を目指さない選手として。

 先発かベンチスタートか。降格か残留か。勝つか負けるか。アスリートである限り、ふたつの結果の狭間を生きねばならない。時のその明暗が、人生さえも分ける世界だ。

 しかし、酒井はそういう明暗もまた「ダブル」と捉えているようだ。どんな結果であっても無駄ではない。ひとつとひとつに意味がある。

「日本のためにと頑張り、努力してきました。その時間に悔いはありません。それでも僕は結果を残せなかった。そういう意味では、努力が報われたわけではありません。だけど、その時間が無駄だったとは思わない。精いっぱい力を尽くしたという自信があるから」

 日本代表への愛着は変わらず、未練もある。しかし、自分が退くことが日本代表のためになるという気持ちに至ったのだろう。

 今後は「日本代表を目指さない」選手としての生き方を示していく。そのひとつには日本でプレーする道もある。とはいえまだ28歳。帰国を急ぐ必要もないだろう。

 今は1部昇格レースの最終コーナー。1部クラブからのオファーもあったなか、ハンブルガーSVでの1部復帰に賭けた。それを果たすことだけを考えている。

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