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センバツの習志野アルプスに轟いた、
“美爆音”と40年前のトランペット。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byYukiko Umetsu

posted2019/03/25 11:40

センバツの習志野アルプスに轟いた、“美爆音”と40年前のトランペット。<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

習志野高校のアルプススタンドで、トランペットを吹く根津嘉弘氏。在校生にも歴史と伝統の素晴らしさは伝わった。

「こんなに長く愛される曲になるなんて」

「子どもの頃から曲を作るのが趣味だった」という根津氏に、当時の吹奏楽部顧問は次の3点をリクエストした。

 当時から応援に使っていたという、「ドンドン・ドドドン・ドドドドン Let’s Go!」というリズムをそのまま使うこと。「習志野」という掛け声を入れること。そして、「習高らしく元気のいい曲を」という3点だ。

 メロディはすぐに思い浮かんだというが、完成した曲を聞いた後輩からは、「常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)の曲みたいだ、とからかわれましたけどね」と根津氏は笑いながら振り返り、そして「こんなに長く愛される曲になるなんて考えてもいなかった」と続けた。

 今でこそ吹奏楽コンクール全国大会常連の同校吹奏楽部だが、当時は「これからコンクールに力を入れていこう」という時期。野球応援が大好きで、ひたすらやりがいを感じていた一方、「コンクールが好きではなかった」という根津氏は、「コンクールも真剣にやりたい」という女子部員と対立し、3年の夏に部活を辞めた。

「それくらい、応援が生きがいだったんです。部活は途中でやめましたけど、吹奏楽部の連中とは今でも交流があり、仲がいいんですよ」

「Nikkan」のトランペットとは?

 この日、アルプススタンドに持ってきたのは、高校時代に使っていたトランペット。「先輩から譲り受けた」というボロボロの楽器をよく見ると、「Nikkan」のロゴがある。“ニッカン”とは、「日本管楽器株式会社」の略称で、のちにヤマハによって吸収合併されたことから、現在はもう流通していない(中古を除く)。つまり、根津氏が高校生の頃は、まだ「YAMAHA」のロゴではなく、「Nikkan」ロゴの管楽器が出回っていたということだ。

「今はもっといいトランペットを使っていますよ(笑)。でも、久しぶりの甲子園ですから、あえて高校時代に愛用していたこの楽器で、『レッツゴー習志野』を吹きたかったんです」

【次ページ】 40年前の曲が今も受け継がれ……。

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