話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
J開幕3戦、未だ得点ゼロの鳥栖。
空回りする攻撃陣に光明はあるか?
posted2019/03/12 08:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
サガン鳥栖に“初日”が出ない。
第3節のFC東京戦に2-0で敗れ、これで開幕から3連敗、最下位に沈んでいる。
これまでリーグ戦2試合、ルヴァン杯の仙台戦を含めて公式戦3試合で8失点。後手を踏む守備で昨年の後半戦、熾烈な残留争いを勝ち抜いた堅守は見る影もなくなっていた。
ジョアン・オマリや吉田豊、権田修一ら最終ラインの主力がごっそり抜け、小林祐三が不在なのが守備に少なからぬ影響を及ぼしている。また、今シーズンから採用している3-5-2がもうひとつフィットしないのも見て取れた。
良くなる兆しが見えない中、ルイス・カレーラス監督は新たな手を打ってきた。
FC東京戦では3-5-2ではなく、4-2-3-1の布陣で挑んだのだ。
4バックに戻し、全体をコンパクトに保ち、球際に厳しくいくことを徹底した。うまくいかない時はシンプルなことを忠実にやることで、変化が生まれてくる。
そして、それがハマった。
立ちあがりこそFC東京にチャンスを作られるもボールホルダーに激しく寄せ、相手を転がす勢いでチャージし、流れを自分たちの手元に引き寄せていった。
勝負を賭けた“クエンカ投入”。
左サイドバックの三丸拡も「みんな、戦う気持ちが前面に出ていたし、十分戦える手応えを感じていました」と、今までとの違いを感じていたという。昨年、金明輝監督になってから左サイドバックのポジションを掴みながらも今季はまだ出番がなく、この試合で今季初のスタメン出場を果たした三丸。なかなか攻撃では貢献できなかったが、守備では久保建英らを抑え、前半はほとんど仕事をさせなかった。
後半15分、カレーラス監督はここが勝負時だと踏んだのだろう。
元バルセロナのアタッカーで切り札のイサック・クエンカを投入した。
「彼はコンビネーションを作れる選手なのでフェルナンド(・トーレス)や趙といい攻撃ができると思っていました」
カレーラス監督の期待は大きかったが、クエンカを投入して、わずか1分後、想定外の事態が起こる。