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ボンズがイチローを指導。夢のタッグが生む化学反応。~大打者が見抜いたイチローの意外な本質とは~
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byYukihito Taguchi
posted2016/04/03 08:00
51歳のボンズ打撃コーチが居残り特打に参加すると、イチローもすぐさま駆けつけて見学。
通算762本のメジャー最多本塁打記録を持つバリー・ボンズがトスするボールに対し、イチローが時折、声を発しながら打ち返す。マーリンズのキャンプ地、フロリダ州ジュピターの室内ケージで両雄が向き合うと、乾いた打球音の中、張り詰めた空気が漂う。イチローとボンズが醸し出す特有の空間は、さながら剣豪の「真剣勝負」のようですらある。
今年、マーリンズがボンズを打撃コーチに迎えたことに伴い、大打者2人のタッグが実現した。イチローがメジャーデビューした2001年には、ともにリーグMVPを獲得。'02年の日米野球では大リーグ選抜として一緒にプレーしたほか、オールスターでは5回競演し、交流戦でも6試合対戦するなど、過去の接点は少なくない。ただ、コーチと選手の立場になると、2人の関係はどうなるのか。キャンプイン前の時点から、周囲の注目度は高まっていた。そんな疑問に、現地入り直後のイチローはサラリと答えた。