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長年の親交をもとに描く、“人間”植村直己の肖像。~最高の冒険家と兄弟のように過ごした16年~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2017/03/29 07:00

長年の親交をもとに描く、“人間”植村直己の肖像。~最高の冒険家と兄弟のように過ごした16年~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『植村直己・夢の軌跡』湯川豊著 文春文庫 750円+税

 植村直己には一度会った。1980年、長嶋巨人の宮崎キャンプに特別講師で植村が招かれた。非公開の講演後、植村に選手たちの反応をたずねると、「熱心に聞いてくれました」と照れた。愉快だったのは「気持ち良い人だ」といった広報担当の話。「謝礼の額に彼は驚いて“こんなにも……”と絶句したよ」。植村の人柄の一端を知り笑ってしまった。

 本書に植村が北極圏のエスキモーの村で1年近い共同生活をしたときの経費が触れられている。「書き写していて悲しくなるぐらい、つましい数字」と著者は書く。世界初の5大陸最高峰登頂者、世界初の北極点犬橇単独行達成者でもそうだったのだ。

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