才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER

35歳のプロ野球選手・松田宣浩が
今季も変わらず“熱男”宣言!

posted2019/02/12 18:00

 
35歳のプロ野球選手・松田宣浩が今季も変わらず“熱男”宣言!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

  ホームランを打つたびに沸き起こる“熱男”コール。相手球団の野手でさえ「あれはすごい。守っていて脅威に感じる」と漏らすほど、球場中が一体となる。福岡ソフトバンクホークスで誰よりも熱いと言っても過言ではない男、松田宣浩。35歳となった今も彼を駆り立てるものとは何なのか。

 僕はベテランって言葉があまり好きじゃなくて、大人の野球選手って言うんです。

 で、大人の野球選手になって感じているのは、20代の頃は体も元気ですし、活発ですから、自分のことしか考えず、イケイケドンドンで野球をしていたなということ。30歳を過ぎて、35歳にもなるとそういうのはなくなってくるんですよね。ただ、逆にすごく視野が広くなって、自分以外の周りの状況をすごく見られるようになりました。20代の頃なんて、周りのことは“どうでもいいわ”ぐらい興味がなかったし、守備ではバッターしか見ていませんでしたから(笑)。ゴールデングラブ賞を何度も取らせてもらえたのは、視野が広くなったおかげでしょうね。

 でも、ただ年齢を重ねていけばいいのかと言うと、僕はそれでは意味がないし、人として広がらないと思っていて。勝ったり、実績を上げていった経験値があって初めて、自分に対して自信をつけていくことができるのではないでしょうか。

すごく大きかったWBCの経験。

 僕はプレッシャーと責任って一緒だと思っているんです。これはスポーツに限らず言えることですが、プレッシャーや責任を感じながら生活していく方が人間って成長するものです。みんな平等に24時間があるなかで、何をするのかってすごく大きい。ただ過ごしたり、仕事をするだけではなく、目標や夢を持って、責任を感じながら過ごしていく方がいいと思うんですよね。

 そういう意味ではWBCの経験は僕にとってはすごく大きいものでした。

 第1回、第2回で日本は世界一になって、僕は第3回と第4回に選ばれたのですが、どちらも準決勝で負けているんです。もちろんペナントレースにも重みはありますが、日の丸を背負うというプレッシャーはすごくて。守っていても、ベンチにいても一球の重みをひしひしと感じました。だけど、一方で緊張感とともに味わう達成感みたいなものもすごく覚えていて。あの経験は僕を成長させてくれたと思っています。

 第4回の準決勝で僕はサードゴロを弾いて、勝ち越しの決勝点を献上してしまったんですが、その時の絶望感は言葉では表せないほどでした。日本に帰って来て、録画した試合を見ましたが、みんながそこで「あーー!!」って言ってて。あれは今でも後悔の残るプレーです。

 ただ、失敗をしてもチャンスは1度じゃないし、頑張っていればいつか挽回のチャンスはくる。人は可能性を秘めているし、あとは這い上がっていくしかない。だから下を向くことなく、とにかく上を目指して一生懸命にやるだけだと思っています。そういう経験をすることも、大人の野球選手になるには必要だったと感じています。

【次ページ】 ムネさんが教えてくれたこと。

1 2 NEXT

ページトップ