マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「野球男子」の減少は本当に問題か。
北海道の教室で出会った2人の女子。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/01/31 07:00
野球を選ぶ子供たちの数は減り続けている。野球にとっての適正なサイズ、形を探すのはこれからだ。
冬の北海道で、体育館練習。
捕る、投げる、打つ……野球の代表的な姿勢は、みんなつながってるんだよ。
打つ方に迷ったら、まず「捕球姿勢」に戻ってごらん。捕り方から投げ方、そうやってたどっていくと「打ち方」にたどり着く。急がばまわれ。そこから先は、自分がいちばん気分よくスイングできる振り方をすればいい。
教えるといってもそんな内容だから、寒い北海道なら体育館で練習する冬のほうが都合がよい。だから、いつも冬の練習にうかがっている。
野球があまりに上手な2人の女の子。
今年の「野球教室」に、2人の小学生の女の子が参加していた。
6年生と3年生。この2人の野球が上手でびっくりした。
6年生のほうは、もともとスクールに来ていたお兄ちゃんの妹。3年生のほうは、最近スクールに参加し始めたという。
6年生は、北海道の社会人野球でプレーしていたお父さんに野球を教わったという。ティーバッティングのスイングに驚いた。
バットを構えた背中がスッときれいに立って、バットが水平に振り出されて、両肩も水平のままで、振り抜いた後まで、頭がいっさい動かない。
男の子たちは力がついてくる頃なので、その力を使ってエイッ! と力を込めて打ちたがるのだが、彼女はというと、800グラムほどのバットを振るのにちょうどよいぐらいの力しか入れずにスイッと振るので、振り終わりのバランスを崩すこともなく、いとも簡単にバットの芯でボールを捉える。
3年生のほうも、そんな感じだ。
大人のようにへんな情報が入っていないので、目の前に上げられるボールをひたすら見つめ、まだ体も小さくて力もないから、今ある「柔軟性」という最大の武器を駆使して、無心にバットを振るのだが、これがまた実に見事に芯で捉えている。
なんとも、バッティングの「原点」を幼い2人の野球女子から教えてもらっているような気がして、ありがたい気持ちになったものだ。