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2019年日本人最初の世界戦は完敗。
高橋竜也の決断は無謀だったのか? 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byKyodo News

posted2019/01/21 17:00

2019年日本人最初の世界戦は完敗。高橋竜也の決断は無謀だったのか?<Number Web> photograph by Kyodo News

2019年の日本人新王者第1号にはなれなかった高橋竜平だが、世界を切り開く意志は確かに存在したのだ。

なぜ高橋は挑戦者に選ばれたか。

 そもそも高橋のような選手がなぜ挑戦者に選ばれたのだろうか。それにはいくつかの理由がある。

 まずはチャンピオンが初防衛戦で、「勝てる相手」を選んだということだ。これは古今東西よくある話。さらにはドヘニーが大手プロモーター、マッチルーム・ボクシングと契約したあと、早急に試合を組むことになり、短期間で挑戦者を選ばなくてはならなかった。

 世界戦に向けてはだれだって十分な準備をしたいから、急なオファーは断られることも多々ある。ところが、高橋陣営は12月初旬にドヘニー陣営からオファーをもらって「やる」と即答。高橋は新婚旅行を急きょキャンセルして世界戦の準備に入った。さらには試合日程が正確に定まらず、2月という情報も飛び交う中、1月18日が正式決定したのが、試合の1週間前という慌ただしさだった。

 もう1つ加えると、アメリカでは米国DAZNとタッグを組むマッチルームなどの新興勢力の進出で駒が不足し、選手の奪い合いが激化しているという事情もある。知名度の決して高くない王者ドヘニーがMSGで無名日本人と防衛戦を行うなど、10年前なら考えられなかった。

タイで地域王座を獲得した実力。

 高橋に話を戻すと、弱小の挑戦者だったのは確かにしても、実力で世界ランキングを獲得していたことは明記しておきたい。高橋は昨年6月、タイに飛んでIBF世界ランカーのマイク・タワッチャイ(タイ)に12回3-0判定勝ち。IBFパンパシフィック王座を獲得して世界ランキング入りを果たした。

 このタワッチャイに2-1判定勝ちして岩佐への挑戦権を獲得したのがドヘニーだ。三段論法は通用しないとはいえ、タワッチャイにより差をつけて勝利した高橋だから、ドヘニーの相手としてまったくの力不足というわけではなかったことになる。

 今回のように、近年では日本人選手が海外に出て地域タイトルを争い、これに勝利して世界ランキングを獲得するというケースが少しずつ目につくようになった。

 このような地域タイトル(実にたくさんある)は、日本国内ではタイトルの乱造を防ぐという理由で認められないものが大半だ。IBFアジアパンパシフィック王座もしかりで、だからこそ高橋はタイに飛んだという見方ができる。

【次ページ】 世界に目を向ける情熱を応援したい。

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