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海外生活7年半。
なでしこジャパン・熊谷紗希が海外で得た強さ。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/01/16 11:00

海外生活7年半。なでしこジャパン・熊谷紗希が海外で得た強さ。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本人が学ぶべき勝負への厳しさ。

 ただ、向こうの選手はすごく負けず嫌い。小さなことでも負けるのが嫌いで、遊びのドッジボールでも引かなかったりとか、日本では起こらないような小さないざこざが練習中にあったりする。間違えていると思ったら、相手がコーチやスタッフだとしても必ず“いや、それはないでしょう!”って抗議するし、そういう勝負のところはもっと日本人が学ばなきゃいけないところだと感じています。

 日本では体格的に劣ることはそんなにないですけど、海外だとスピードで勝負しようとか絶対に思えない選手もいるじゃないですか。じゃあどうやって対応するのかを日々考えて予測する。その場数や経験が今の私の強みだと思っています。若い頃はただ必死で、全然予測をすることもできなかったし、いろいろな場面で則さんに厳しく言われたこともありました。でも私は多分褒められて伸びるタイプではなくて(笑)、怒られて“なにくそ!”と思って頑張るタイプなんですよね。

ミスを恐れず、楽しんでいく。

 それでも一時期はミスをして怒られたくないって考えていた時期もありました。でもそれってよく考えると意味が分からないじゃないですか。海外でプレーするようになって、ミスしないように怒られないようにする日本人のプレーはあまり好きじゃないなって。

 海外の選手は本当にすごいですよ。そんなつもりはないんだろうけど、自らミスしに行くようなプレーをしますからね。“やめて! 絶対取られる”っていうところに行くんですよ。だけど、なぜか通っちゃう奇跡みたいな時もあって。もちろん場所と時間は選ばないといけないのですが、ミスを恐れず勝負ができるかできないかの違いってすごく大きい。そこは日本人の課題だと思っています。だいたいミスをしないプレーって楽しくないですよね。ミスにもよりますけど、“怖いからできない”って避けるよりも、ミスをしてもそのプレーを分析して次に切り替えられたほうが経験にもなりますよね。

 私は楽しむってことが一番大切だと思っています。楽しくなきゃやりたくないし、楽しくなきゃ続かない。うまくプレーできたときが一番楽しいし、だからまた頑張ろうって思える。そういうことを考えると楽しいことが、私のパワーになっている。だから人生、今のところ本当に楽しいですね。

熊谷紗希

熊谷 紗希Saki Kumagai

1990年10月17日、北海道生まれ。小学3年生からサッカーを始め、宮城県の名門・常盤木学園高校に進み、在学中の2008年になでしこジャパン初選出。2011年女子W杯で優勝した後、ドイツの1.FFCフランクフルトに、2013年にはフランスのリヨンに移籍。その後はUEFA女子CLで3回の優勝に貢献するなど中心選手として活躍中。現在はなでしこジャパンの主将も務める。

毎回1名のゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある「美しさ」をあぶり出すBS朝日の番組。ビジュアルだけではなく、精神的、健康的など様々な角度から“肉体に宿る美”を探ります。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

MC:浅尾美和

第38回:熊谷紗希(サッカー)

1月18日(金) 22:00~22:24

サッカー日本女子代表キャプテンの熊谷紗希選手は、2011年W杯優勝、UEFA女子チャンピオンズリーグ3連覇など、今や世界的なプレイヤーとして活躍しています。今年のW杯、来年の東京五輪という大きな目標を前にどんな思いを背負ってピッチに立っているのか、28歳になった彼女に聞いた。

第39回:マンスリースペシャル

1月25日(金) 22:00~22:24

第36回から第38回までに登場した空手・植草歩選手、バレーボール・栗原恵選手、サッカー・熊谷紗希選手。第39回は未公開シーンを含む3人の総集編をお届けします。

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