ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
天龍源一郎が最も悩んだときの答え。
50人に嫌われたら、50人に好かれる。
posted2019/01/02 17:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Naoya Sanuki
天龍源一郎が、2015年11月15日両国国技館でのオカダ・カズチカ戦で引退してから、早3年が経った。
そのことを天龍本人に聞いてみると、「振り返ってみたら早いけれども、『まだ3年か』っていう思いもありますよ」という答えが返ってきた。それだけ密度の濃い3年間だったということだろう。
天龍は引退会見の際、「引退」ではなく「廃業」という言葉を使ったとおり、オカダ戦後はアドバイザーやコーチといった立場でプロレス界に残ることなく、新たな道を歩むべく芸能活動を本格化。
すると、独特のハスキーボイスからくる“滑舌の悪さ”が受け、テレビCMやバラエティ番組に多数出演。現役時代を知らない世代にまで「天龍」の名が知られるようになった。60代後半を迎えてから、こういったかたちで再ブレイクした例は、プロレス界にかぎらずなかなかないことだろう。
波乱万丈の人生を聞いてみた。
そして先日は、『天龍源一郎の世界一滑舌の悪い人生相談』(白夜書房)という人生相談本も上梓した。これはアイドル・サブカルチャーを中心とした雑誌『BUBKA』での連載を一冊にまとめたもの。
プロレス誌ではなく、一般誌でのレスラーの人生相談が本になるというのも異例だが、編集部によると「さまざまな栄光と挫折を知る天龍さんだからこそ、世に溢れる多様な悩みを受けきれるのではないか」という思いから始めた企画だったという。
たしかに、天龍ほど長きにわたる波乱万丈な格闘人生を送ったレスラーもなかなかいない。今回、この本のパブリシティ期間に、天龍の単独インタビューをする機会を得たので、あらためてそのレスラー人生を本人に振り返ってもらった。