JリーグPRESSBACK NUMBER
札幌の内村圭宏、ザスパの松下裕樹……。
トライアウトから始まる新たな物語。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2018/12/18 08:00
コンサドーレ札幌にあって怪我で活躍の機会を奪われていた内村圭宏。完全復活した今、捲土重来を期す。
「若手の見本になれる選手がほしい」
松下には、栃木シティFC(関東1部リーグ)の岸野靖之戦略統括責任者(CSO)が早速接触している。
「魅力に映るのは、彼の持つ人間性と豊かな経験。うちはこれからのクラブですから、若手の見本になれる選手がほしい」(岸野CSO)
終わりの見えてきたキャリアをどこで燃やすのか。生活を成り立たせるのと同様に、見出される価値は重要な意味を持つ。
「最後までもがいてみたい気持ちが」
前田悠佑(V・ファーレン長崎)は異色の経歴の持ち主だ。
高校、大学とサッカーの強豪とは無縁で、2007年、当時九州リーグのホンダロックSCに加入。2012年、長崎に移籍し、JFL、J2と階段を上がって、ついに今季はJ1のピッチを踏んだ。
「そもそも自分がJリーガーになれるなんて、まったく思ってなかったですからね。今季が終わって契約満了を伝えられ、燃え尽きた感もあったんですが、最後までもがいてみたい気持ちのほうが勝りました。やれることを全部やってからでなければ、今後の人生にも生きてこない」
年々、自分の持つ器を大きくし、もう充分に力を出し尽くした実感がありつつも、ここまで成り上がってきた雑草のたくましさが気持ちを支える。
不安定なチームで見せ場を作った選手も。
トライアウトは即席チームで行われる都合上、コンビネーションは不安定にならざるを得ない。
そこで、的確な状況判断で周囲を巧みに使いながら、自分の見せ場もつくり出す選手がいた。
内村圭宏(北海道コンサドーレ札幌)である。