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札幌の内村圭宏、ザスパの松下裕樹……。
トライアウトから始まる新たな物語。
posted2018/12/18 08:00
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
Tetsuro Kaieda
色とりどりのトレーニングウェアに身を包んだ選手たちが、冷たい雨の降るピッチを走る。目印は、番号の入った黄色と青のビブス。年齢層は、下は20歳から上は41歳までと幅広い。この統一感のなさこそが特徴と言える。
共通項は、ただひとつ。
彼らが選手生命の瀬戸際に立つということだけだ。
12月12日から2日間、2018JPFA(日本プロサッカー選手会)トライアウトがフクダ電子アリーナで開催された。
所属クラブで契約満了となった選手たちを対象とし、今回の参加数は計107名。7対7のミニゲームと25分ハーフのゲーム形式が行われ、クラブ関係者やエージェントが掘り出しものを見つけるべくスタンドから視線を送る。
それぞれ置かれている立場は異なり、再起を図る切実さは比べようもない。そこで、自然と惹きつけられるのは、やはりプロの世界で長年身を立ててきたベテランの意地だ。
24歳の時以来、2度目の選手も。
松下裕樹(ザスパクサツ群馬)は、プロ19年の実績を持つミッドフィルダーである。2000年、前橋育英高からサンフレッチェ広島に加入し、後年は地元群馬でクラブを象徴するプレーヤーとして地歩を固めた。
「トライアウトは24歳のとき以来、2回目です。前回はまだ若かったので戸惑いましたが、今回は心の準備がある程度はできていました」
群馬が1年でのJ2復帰を果たせなかったことが、トライアウトに参加した主たる理由である。
「寂しさ、悔しさはありましたよ。でも、自分ではまだやれると思っているので、トライアウトでそれを証明し、プレーするチャンスをつかみたかった」