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「フィギュアスケートは総合芸術」
氷上の哲学者・町田樹、最後の演技。
posted2018/10/10 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
リンクに登場するたびに、拍手が場内を包んだ。
10月6日、さいたまスーパーアリーナで行なわれた「ジャパンオープン」、続けて開催された「カーニバルオンアイス」のそれぞれでプログラムを披露。挨拶にも立った町田樹へ向けられた拍手は、そのスケート人生への労いと愛惜、新たな場所へと送り出す励ましが込められているようだった。
この日、町田はスケーターを引退した。今後は研究者という立ち位置でフィギュアスケートにかかわっていくという。
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「ファンの皆様、オーディエンスの皆様、今日このような多くのかたがたに見守られて引退公演をできる私は、世界一幸せなスケーターだと思っております。ほんとうにありがとうございます」
ジャパンオープンでの引退セレモニーでは、晴れやかな笑顔で感謝を伝えた。その表情には少しの悔いもうかがえず、すべてをやりきっての引退であることを物語っているようだった。
これまでも、これからも戦い続ける。
「ジャパンオープンという競技会でしのぎを削ったスケーターをはじめ、世界では日夜、選手やプロスケーターが戦っています。血のにじむような努力をして戦っています。
立場は異なりますけれども、私もこの愛するフィギュアスケートのために明日からさっそく精進をかわらず続け、私も戦い続けたいと思っております」
戦い続けたい――この言葉はつまり、今日まで戦い続けてきたということをも意味していた。
2014年末の全日本選手権で競技からの引退を発表した後、町田は早稲田大学で大学院生として研究に取り組むかたわら、プロフィギュアスケーターとして活動してきた。
競技からの引退を表明してからもずっと、オリジナル性あふれるプログラムを作り、表現し続けていたのである。