“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
10年前のドラフトから考えるソフトB。
育成指名を重視するきっかけの年に。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/10/10 17:00
今年5月に2年ぶりの勝利を手にした攝津正。一昨年までの5年連続開幕投手は快挙であった。
1位より、5位の攝津正が活躍した。
1位で入札した大田泰示(内野手・東海大相模高校)を抽選で外し、外れ1位で巽真悟(投手・近畿大学)を獲得。
巽は大学3年春のリーグ戦、京都大戦でリーグ記録の23奪三振、その6日後の同志社大戦でノーヒットノーランを演じた本格派だが、投げにいくとき大きなひねりや上下動が入る投球フォームが仇になり、通算1勝で終わった。
この巽の代役を務めたのが5位の攝津正(投手・JR東日本東北)だ。
巽と反対に小さいテークバックと開かない左肩が正確なコントロールを導き、1年目から中継ぎとしてフル回転し、70試合に登板、5勝2敗34ホールド、防御率1.47という素晴らしい成績を挙げた。
攝津は翌'10年まで中継ぎを務め、'11年からは先発に転向、'15年までローテーションの中心的存在としてフル回転し、年俸は最高で4億円にも達した。
育成ドラフトの先駆者、二保と山田。
2位立岡宗一郎(内野手・鎮西高校)は内野と外野を務めながらマウンドに上がれば140キロを超えるストレートを投げる超高校級として一部で名前を知られた選手。
ホークスの厚い選手層に阻まれ'12年までの一軍出場はわずか1試合。同年6月に巨人に移籍すると翌'13年は46試合に出場して15安打を放ち、'15年には103安打、16盗塁を記録している。
一軍に確かな足跡を残したのはこの2人だけだと思ってはいけない。
育成ドラフトに目を移すと、2位で二保旭(投手・九州国際大付高校)を指名している。
右ヒジの手術の影響で'16、'17年は登板していないが、'15年には44試合に登板し、6勝1敗の好成績を挙げている。
ちなみに、通算24勝を挙げている山田大樹(投手・つくば秀英高校、2018年シーズンからヤクルト)は、この2年前の'06年の育成1位選手。
二保、山田が一軍で戦力になったことでスカウティングが活発になり、'10年には育成ドラフトで現在の主力、千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也を指名している。
そういう意味では山田と二保は、育成ドラフトを盛り上げた先駆者と言っていい。