野ボール横丁BACK NUMBER
甲子園51本塁打のバットを全調査。
藤原恭大はミズノ、根尾昂はZETT。
posted2018/09/05 11:30
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
この夏の甲子園、100回大会ということでヒートアップしていたのは用具メーカーも同じである。
金属バットの音を聞いただけでメーカーと型番を言い当てるという野球専門ショップ「ベースマン立川店」のカリスマ店員・星徹弥さんが話す。
「野球用具の国内4大メーカー、ミズノ、アシックス、SSK、ZETTは、ここぞとばかりに新製品を投入してきました。ただ、目立ったメーカー、目立たなかったメーカーが色分けされた感があります」
星さんがやや不発に終わったかと振り返るのは、アシックスの熱を遮断する効果を持つスパイクだ。
「100回大会の企画商品だったのですが、シューズということもありさほど目立ちませんでした。表面に特殊な加工がしてあり、熱がこもらない設計になっています。『最新、最速。』をテーマにしているメーカーだけあって、アイデアは時代性を見事にとらえていたと思いますが、効果が実感しづらかったのかもしれません」
SSKもインパクト面では後手に回ったという。
「SSKは往年の金属バットの看板カラー『ライトグリーンゴールド』を選手権モデルとして復活させました。ミズノの『VKONG』シリーズと人気を二分するSSKの『スカイビート31』シリーズの最新モデル、スカイビート31Kにこの新色を加えたのですが、さほど使用率は高くなかった。お得意様の大阪桐蔭は優勝したものの、このニューカラーは使用していなかった。それが痛かったですね」
ZETTのプロテクターを23校が利用。
そんな中、奮闘が目立ったのはZETTとミズノだ。ZETTはキャッチャーがお腹の前に装着するプロテクターの新製品を開発した。巨人の小林誠司が使用していたことで有名になった、表面に凹凸がまったくない完全にフラットなモデルを改良したものだ。星さんが説明する。
「56校中、23代表がこれを使っていました。枕にボールをぶつける感覚で、ボールを体で止めると、ボトリと前に落ちるそうです。今回の製品はメッシュ素材で、さらに軽くかつ止まりやすくなっているそうです」