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アジア大会メダル量産の一方で
卓球代表に一線級不在の理由とは? 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2018/08/26 11:00

アジア大会メダル量産の一方で卓球代表に一線級不在の理由とは?<Number Web> photograph by Getty Images

アジア大会には出場しない伊藤美誠。東京五輪を見据え、チェコオープンでの優勝を目指す。

世界ランキング上位2人が個人戦に。

 卓球は男女それぞれ、世界ランキングの上位2名を個人戦の代表に選ぶ方針を打ち出している。その基準となるのは、2020年1月時点での世界ランキングである。そのとき、日本勢で2位以内にいなければ個人戦の代表にはなれないが、ランキングはそれまでの1年間でポイントの高い8大会での合計によって算出される。

 だから実際のところは、現段階でランキングを上げたとしても五輪代表の競争には直結しない。

 それでもランキングにこだわるのは、ランキングの順位を高めておくことで、先々の国際大会でのシードを有利にする狙いがある。常に競争相手より上のランキングにいることで、心理的に優位に立ちたいという思いもうかがえる。

 チェコオープンは優勝すると1800ポイント加算されるのに対し、アジア大会は1050ポイントしかない。しかもチェコオープンならベスト32にあたる本戦の1回戦負けでも900ポイント、ベスト16なら1080ポイントを得られる。ランキングを上げることを考えれば、そちらを優先すべきであることは一目瞭然だ。

「一時期は話をしないことも」

 むろんオリンピック出場には、個人戦のみならず団体戦のための1枠もある。

 だが、選手としてはまず個人戦出場を目標にするのは当然だろう。ロンドンやリオデジャネイロ五輪でも、個人戦2枠をめぐる戦いは激しかった。ロンドン五輪の団体戦代表となった平野早矢香は「(2枠入りを目指し)一時期はお互いに話もしませんでした」と振り返っている。

 最新の世界ランキングを見ると(8月3日付)日本男子トップは6位の張本、そして11位に丹羽、12位に水谷、19位に松平健太、27位に吉村がつける。女子は4位の石川を筆頭に、6位に伊藤、9位に平野、14位に佐藤瞳、16位に早田……と続く。このランキングにも競争の激しさが表れている。

【次ページ】 選手たちの意向を尊重した結果。

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