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山田哲人が11種類のトス打撃を封印。
夏男の秘訣は「休むことですかね」。 

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浜本卓也(日刊スポーツ)

浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto

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posted2018/08/07 11:30

山田哲人が11種類のトス打撃を封印。夏男の秘訣は「休むことですかね」。<Number Web> photograph by Kyodo News

連続試合打点は12で止まりバースの持つプロ野球記録「13」には届かなかったものの、ヤクルト浮上の原動力になっている。

練習中も時間を見つけて“休む”。

 主力としてほぼ全試合フルで出場してきた経験が、調整の優先順位を明確にさせていた。「これだけ練習をやったから大丈夫」という安心を得るよりも、「しっかりコンディションを整える」方が試合でのパフォーマンス向上につながるタイプだと考え、打撃練習のメニューを変えていた。

 そう言われると、練習中の行動すべてに合点がいった。山田哲は、時間を見つけては“休んで”いた。7月は本拠地・神宮球場で高校野球の予選が行われていたため、試合前練習はほぼ、蒸し暑い室内練習場で行われた。

 アップ、打撃練習、キャッチボール、ノックとメニューが変わる時に生まれるわずかな時間で、山田哲は設置されている大型扇風機の前で強風を受けていた。ベンチに腰を掛けた。冷房の効いたロッカー室まで戻っていた。体の熱を冷まして体力消耗を防ぎ、その日のベストで試合に入れるように気を配っていた。

軸足に体重を乗せるスイングの完成。

 加えて、オフから実施してきたスイングの修正が完了した。山田哲の打撃の特長は、左足を高く上げて右足にしっかり力をたくわえ、一気に振り抜いての大きなフォロースルー。

 状態の悪い時は軸足に体重が乗らず、体勢が投手よりに崩れる傾向にあった。その影響から、昨季は打率2割4分7厘、24本塁打、14盗塁で3年連続のトリプルスリー達成という快挙を逃した。

 その反省から、春季キャンプから反復練習を繰り返してきた。意識しなくても崩れなくなるよう、頭の中に「軸足に体重を乗せる」と念じ続けながらバットを振り続けた。

 7月、ようやくしっくりきはじめた。頭の先から足先まで1本の串が通っているように、クルッと回転して力強い打球を放つ場面が目立ってきた。「軌道がいい感じだから、角度がついて本塁打になっていると思います。イメージ通りにバットを出せています」とうなずいた。心技体ともに充実一途で、7月を終えた。

【次ページ】 トリプルスリー狙いを公言して。

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山田哲人
東京ヤクルトスワローズ

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