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高知商が選手に施した「洗脳」。
明徳義塾撃破を胸に、甲子園優勝へ。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKyodo News

posted2018/08/06 17:00

高知商が選手に施した「洗脳」。明徳義塾撃破を胸に、甲子園優勝へ。<Number Web> photograph by Kyodo News

山梨学院との乱打戦を制して初戦を突破! 応援席へ駆けだす高知商ナイン。

選手達を「洗脳」するためにしたこと。

 そして明徳との決勝を前に「苦手意識」という怪物を退治するための最後の仕上げに入った。

 それは一種の洗脳だった。

「ちょっと朝早く学校にこさせて、私の現役時代、38年前の夏に決勝で明徳に勝った瞬間の映像を見せました。ごまかしじゃないけど、とにかくいいイメージ、いいイメージを持たせようと思って。大丈夫だ、おまえらも勝てる、って」

 選手だけではない。上田監督は、自らも「洗脳」していた。

 大会中は毎晩、「発泡酒1缶+チューハイ2缶」の晩酌を日課にした。つまみは選手たちの「好プレー」だ。

「相手校の分析などは飲む前にやって、飲み始めたら、自分のチームのええ場面だけみて、気分よくなってから寝るようにしていました。

 高校生くらいは指導者の雰囲気とか敏感ですからね。そうして、自分もプレッシャーを感じ過ぎないようにしていました」

「勝ちたい」と即答した選手たち。

 決勝の明徳戦は、10-2で圧勝。創部100周年という記念の年に、明徳1強時代に風穴を開ける大勝利をあげた。

「高知に勝った時点で、よっしゃ、よっしゃという雰囲気になってきて、決勝は、すでに相手が明徳どうのこうのでなくなってきてる感じはありましたね」

 甲子園における上田監督の懸念は、宿敵・明徳を倒し甲子園に出たことで選手が満足してしまうことだった。

 だが大目標を達成したあとだけに、すぐに雰囲気を締めようと思ってもできるものではない。そこで選手の気持ちを緩めるだけ緩め、8月1日、大阪入りし、初めて練習した日に選手たちに「どうしたいんだ?」と尋ねた。

 選手たちは「勝ちたい」と即答したという。

 高知商は過去、4度、甲子園の決勝に進出している。県勢としては最多記録だ。かつての高知商は甲子園で優勝することが目標だった。

 初戦は、その記憶も蘇ったかのような勝ちっぷりだった。

 高知商の「洗脳力」はダテではなかった。

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