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重信慎之介、3年目の開花は
巨人の“組織的肉体改造”から。
posted2018/08/03 16:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
「まだまだ本当の成果は分からない。でも狙っていることの一部は出てきていると言えるかもしれないね」
巨人の鹿取義隆GMは慎重に言葉を選びながらも、手応えを感じていた。
7月31日のDeNA戦。ベテランの内海哲也投手の4年ぶりの完封劇に沸いた試合だったが、その左腕を援護した打線にちょっと目を引く選手がいたのだ。
早大からドラフト2位で入団してプロ3年目を迎えた重信慎之介外野手である。
「1番・センター」で先発すると1回の第1打席で中前に抜ける安打を放って2番・吉川尚輝内野手の二塁打で先制のホームを踏むと、2回にも中前安打。8回の右前タイムリーを含めて3安打の猛打賞で今季、そこまでの打率を4割3分5厘へとはね上げた。
50メートル5秒7という俊足。巨人では2016年限りで引退した鈴木尚広外野手の後継者として期待されての入団だった。ところが昨年は開幕一軍を勝ち取ったものの、早大で同期の楽天・茂木栄五郎内野手の活躍を横目にプロの洗礼に苦しんだ。
8月6日の中日戦では1死一、二塁から外野フライで一塁走者として二塁を回りながら二塁ベースを踏まずに一塁に戻ってアピールアウトとなるという失態を演じるなど苦い経験をした。
栄養管理士導入でチームごと肉体改造。
大学の先輩でもあるヤクルト・青木宣親外野手の打撃スタイルを目標に掲げてスタートした今季は、故障などもあって開幕は二軍スタートだった。
そうして6月14日にようやく一軍昇格を果たしたとき、去年とは見違える肉体で周囲を驚かせたのである。
「体重は6キロ増えました。ただ体脂肪は逆に少なくなっています」
実は今年から巨人は選手のパフォーマンス向上を狙ってコンディショニングと肉体改造のために本格的な管理栄養学を導入。昨年までは月に2、3度ほど食生活についてのアドバイスを行なっていた管理栄養士を常時帯同して栄養バランスのチェックと栄養学に基づいた選手の肉体改造に取り組んでいるのだ。