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ブーイング覚悟で選んだ「敗戦策」。
西野監督の決断がもう1戦を生んだ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/06/29 12:45
アトランタ五輪では「1次リーグで2勝したのに決勝Tへ行けない」という史上初の事例となった西野ジャパン。22年後、西野監督は借りを返した。
疲労困憊だった8年前とは全く違う。
グループリーグ突破が決まっていないなかでのターンオーバーには、率直に言ってリスクがあった。
しかし結果的に、昌子源、原口元気、香川真司、本田圭佑らを休ませることができた。途中出場した大迫勇也、乾貴士、長谷部の3人も、プレー時間は45分に満たない。どの選手も疲労困憊だった8年前の決勝トーナメントとは、明らかに違うコンディションでベルギー戦に挑むことができる。
出場停止やケガ人が出ることを前提とした手当ても、ポーランド戦で進められた。昌子に代えて槙野智章をCBで、長谷部に代わって山口蛍をボランチでフル出場させたことで、どのポジションもバックアッパーのゲーム勘を呼び戻すことができている。
ポーランド戦で2列目の右サイドを務めた酒井高徳は、両サイドバックが出場できない場合を想定したものだったと考えられる。
イングランドとベルギーのどちらとも対戦する可能性があったポーランド戦後の記者会見で、西野監督は「ワールドクラスの両チームなので、チャレンジしがいがある」と強い意欲をうかがわせた。
ベルギー戦はボーナスでもギフトでもなく、日本サッカーのすべてをぶつける決戦だ。そして、ポーランド戦のラスト10分間に向けられた国内外の評価を、変えさせるための戦いでもある。