ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
本田圭佑はW杯で先発すべきか。
本人に聞いた“ズレ”と守備強度。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/12 07:00
ガーナ、スイス戦と結果を残せなかった本田圭佑。3度目のW杯のピッチに立てるのか?
ボール奪取など守備強度が高まらない。
日本はスイス戦で、慣れ親しんだ4バックシステムに回帰。前線から相手にプレッシャーをかけながら、全体もコンパクトな陣形を維持する狙いを持ってスタートした。
スイスは途中、ボランチの1人を最終ラインに落とし、両サイドバックを高めに設定して攻撃のビルドアップを展開した。日本は最前線の大迫勇也と本田が、敵の巧みなパスのつなぎに翻弄されてボールを追い続ける場面が続いてしまった。
西野監督は、ガーナ戦で試した3-4-2-1でも、低く構えて5バック気味に守る手法ではなく、あくまで前線から敵を捕まえに行く積極的なディフェンスを目指した。ガーナ戦の本田は宇佐美貴史とともに、2枚のシャドーストライカーの位置で出場したが、この時もボールに対する寄せは甘く、高いレベルで戦術を遂行できなかった。
そしてスイス戦。布陣が変わった中でも、本田と宇佐美は守備強度に課題を残した。
大迫が左の腰を痛めて前半終了間際に退き、武藤嘉紀が替わって入った。さらに後半早々には左サイドハーフの宇佐美に替わって乾貴士もピッチに登場した。右サイドハーフで先発した原口元気とともに、彼らは普段ドイツやスペインで見せている高い守備意識を披露する。なかなかスイスの柔軟なボール回しを食い止めることは難しかったが、敵に寄せていくスピード、相手にかける圧力の強度は、ボール奪取の可能性を感じさせた。
掲げたゲームプランと、人選。高い位置で封じる守備を前提にしながら、本田と宇佐美を先発で起用している時点で、西野監督の采配には齟齬が存在している。
今求められるのは効率的な戦い方。
確かに、本田の守備意識自体は低くはなかった。それは西野監督の言葉からもわかるし、相手に寄せる意識、ボールを追う姿勢は彼も見せている。ただ、決定的に欠けているのが、ボール奪取するためのスピードや強さ。動きが重く、せっかくの意識も空回り状態である。
陣形をコンパクトにし、組織的に、とにかく選手が連動しながら守備をする。西野監督のチーム作りの方向性は間違っていない。日本人が世界で戦う上で、欠かせないコンセプトである。
近年の国際大会で、その狙いを体現していたのが2012年のロンドン五輪代表だった。大会直前になっても一向に定まらなかった攻守のバランスを、直前になって攻撃陣の献身的なプレッシングとタイトな陣形を軸に据えた。堅守速攻のシンプルな戦い方でベスト4まで勝ち登った。
今回もチーム作りに時間はない。細かな連係を積み上げていくことが理想だが、悠長なことを言っていられない。いま、西野ジャパンに真っ先に求められるものは、シンプルかつ効率的な戦い方の形成しかない。