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井上尚弥に久々の真剣勝負が到来。
3階級制覇の相手は10年間無敗。
posted2018/05/24 17:30
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
日本の誇る“モンスター”井上尚弥(大橋)が25日、大田区総合体育館で3階級制覇をかけてWBA世界バンタム級王者、ジェイミー・マクドネル(英)に挑戦する。
マクドネルは10年間無敗、これまでに同王座を5度防衛している強豪で、井上はマクドネルを「いままで対戦した中で最強」と位置付けている。大一番が目前に迫る中、試合の行方を占った。
井上が挑戦者の青コーナーからリングに上がるのは2014年12月、WBO世界スーパー・フライ級王者、オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦して以来、3年5カ月ぶりのことになる。この試合で井上はV11王者のナルバエスを2回KOで一蹴し、その名を世界に轟かせた。
以後、井上はパウンド・フォー・パウンド・ランキング1位のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)ら世界の強豪との対戦を熱望し続けたが叶わず、結果的に周囲から「勝って当たり前」と思われるリングに立ち続けた。
「苦戦? してみたいですね~」
井上がバンタム級に階級をアップした理由は、減量苦に加え、己を熱くさせてくれるライバルが現れない現状に業を煮やしたことも大きかった。
かつて井上のこんなセリフを耳にして驚いたことがある。
「苦戦? してみたいですね~」
井上がいかにライバルとなり得る選手を求めているかが分かるというものだ。
そしてめぐってきたのが、マクドネルへの挑戦である。マクドネルは29勝13KO2敗1分1無判定試合という戦績で、'08年3月以来10年間も黒星がない。井上はバンタム級という未知の世界に飛び込む上に、相手の実績も申し分ないということで、「(久々に)モチベーションが上がっている」と声を弾ませるのだ。