セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ユベントスに中指を立てたナポリ。
「最後までスクデットを信じる」
posted2018/04/28 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
2m48cm。
ナポリDFクリバリーは誰よりも高く飛んだ。バムッと強烈な打撃音を残して、彼のヘディング弾がユベントスのゴールに突き刺さった。今シーズンが終わったとき、この一撃が“スクデット・ゴール”と呼ばれるかもしれない。
首位ユベントスと勝ち点4差で追う2位ナポリが激突したセリエA34節の大一番は、ナポリが1-0で制した。90分目の劇的な勝利がスクデット争いの最終局面に与えた影響は大きい。
カンピオナートはわずか4節を残すのみ。絶対王者ユーベの7連覇を阻止し、28年ぶりの優勝を狙うナポリが勝ち点差1に肉薄する。
ナポリの智将マウリツィオ・サッリの執念の勝利だった。
7年前のこけら落とし以来、国内リーグで難攻不落を誇るアリアンツ・スタジアムでついに王者へ土をつけた。
ドローで終われば優勝が消える。
連動攻撃による機動サッカーを武器にナポリを率いて3年目、悲願のスクデットに向けて長く首位を走ってきたが、28節にしてついにポイントリーダーの座をユベントスに明け渡した。
シーズンは最終盤に入り、信頼を寄せるスタメン選手たちの極端な固定起用や4-3-3への頑ななこだわりが、蓄積疲労によるパフォーマンス低下という弊害を生んでいた。
敵地トリノでの大一番を前に内外からの批判や忠告もあったが、サッリは「今さらチームを変える理由がない」と外野の声を一蹴。
これまでどうしても勝てなかった敵地での“スクデット決戦”でドローに終われば、そこで事実上の終戦だということは、ナポリ一家を束ねる親分サッリにも十分わかっていた。
ただし、今のサッリには“成長したベンチ組”という温めてきた武器があった。
満を持して後半にMFジーリンスキとFWミリクのポーランド代表コンビを投入し、同時に4-2-3-1気味へスイッチ。最後のCKを呼び込んだFWインシーニェのシュートも、FWミリクが相手マークを引きつけた成果だ。