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「スポーツは戦争のようなものだけど」
メドベデワとザギトワの本当の関係。
text by
栗田智Satoshi Kurita
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/03/09 11:30
2人は3月21日開幕の世界選手権にも出場予定。3連覇がかかるメドベデワと初出場のザギトワはどんな演技を見せるか。
2人は30秒もの長い長い抱擁を。
キスアンドクライを後にしたメドベデワは、遠くにザギトワの姿を認めると一目散に彼女のもとへ駆け寄っていった。
そして、2人は抱き合った。
時間にして30秒近くに及ぶ温かな抱擁。その間、2人は抱き合ったまま体をゆっくりと左右に揺らしながら、耳元で何かをささやきあっていた。
のちにインタビューでその内容を尋ねられると、ザギトワは「ジェーニャ(メドベデワの愛称)とはおめでとうと言い合い、互いに言葉を交わしました。でも、それ以上くわしいことは言えません」とニコニコと笑みを浮かべながら答えた。
それは2人だけの大切な言葉なのだろう。氷上での戦いを終えた2人がライバルから親友へと返っていく大切な時間だったのだろう。
「リンクを離れれば親友」
週6日、同じリンクで練習に励んできた2人だ。これまでどれほどの苦労を重ねてきたかをお互いが知っている。リンクの上でも、リンクを離れても、いつもそばに認める存在だ。ザギトワは普段の2人の様子をこう明かす。
「練習以外の自由時間には一緒にスタバに行ってコーヒーを飲んだりしています。あとはSNS。お互いオンラインのときにはメッセージをやりとりしたり。ジェーニャはインスタグラムをよく使いこなしていて、私も使っています。ときにはくだらないビデオを見て笑ったり、いいリラックスになっています」
「氷の上では良きライバル、でも、リンクを離れれば親友」と口で言うのはたやすい。しかし、2人は正真正銘の親友だ。
国際大会の舞台にまだ不慣れなザギトワに、メドベデワが先輩として教えてあげるといった心温まる光景は今シーズン何度も見受けられた。