Number ExBACK NUMBER
羽生結弦、圧巻の演技と感動の輪。
平昌ボランティアも涙した熱狂。
posted2018/03/01 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ああ、やっぱりそうなんだな。
今回のNumber「平昌五輪 2018総集編」特集号の取材で平昌に滞在中、実感したのはそんな思いだった。羽生結弦にまつわる、現地韓国の人々の姿、言葉を見聞きしてのことだ。
平昌五輪は氷上競技が行なわれる江陵と、雪上競技が行われる平昌、大きく2つのエリアに分かれて競技が行なわれた。両地域はバスで約40分ほどの距離だ。
メインプレスセンターがあるのは平昌。ホールのように大きな記者会見場をはじめ、飲食施設、そして執筆や写真の取り込み作業を行なうワーキングスペースなど、各国メディアの拠点となった場所だ。
メインプレスセンターでは、総合案内、交通案内、テクノロジー関連の受付などで多くのボランティアスタッフが働いている。その中には日本語が話せるスタッフも少なくない。
開会式を控えたある日、とある受付に立ち寄ると、若い女性ボランティアが日本語で話しかけてきた。
「羽生さんの演技、きれいだなって」
「羽生さんはどのような感じですか?」
聞けば、羽生結弦が好きなのだと言う。
「映像でしか観たことがありません。羽生さんの演技を観ていると、きれいだなって思います。怪我したと知って心配です。大丈夫でしょうか?」
彼女だけではなかった。別のボランティアスタッフもまた、羽生について話しかけてきたのである。
羽生への関心の高さ、人気は昨年の2月、四大陸選手権を取材した際にも感じたことであった。あのときは地元韓国の人々のみならず、中国、さらには香港やシンガポールからも、羽生を観たくて駆けつけたファンが数多くいた。