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藤澤五月「誇りをもって氷の上に」
カーリング女子、喜びはまだ先に!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2018/02/22 18:00
準決勝進出決定後、藤澤(左)は「今の試合(スイス戦)でもたくさん課題があった。それをもう一度やり直せるチャンスをもらえた」と語った。
成功率は、高いとは言えないが。
4強入りの最後の1席を争っていたアメリカが勝利すれば、22日にアメリカとの間で準決勝に進むチームを決める試合が行なわれることになっていた。だが、アメリカもスウェーデンを相手に敗戦。そのままベスト4進出が決まった。
だから、藤澤は「ラッキー」と表現し、選手は喜びを見せなかった。
ただ、最後に準決勝進出が決まる場面ではそうした綾があったとはいえ、決めることができたのは、予選ラウンドの始まりから粘り強く戦い、勝利を1つ1つ積み重ねたからにほかならない。
コミュニケーションとチームワークを掲げ、氷の状態の変化、ストーンの曲がりなどを密に情報交換し、チームとして戦ってきて得た勝利だ。それは4人ばかりではない。控えに回っている本橋麻里も、こまめに情報を収集し、チームに還元してきた。日常から培ってきたチームとしての力こそ、大きな武器だ。
ショット成功率は、本来の力からすれば高いとは言えない。その中でも競り合いつつ、勝利を得ることができた要因でもある。
涙の吉田知那美も切り替えた。
準決勝では1位通過の韓国と対戦する。地元の利もあり、今大会では好調を誇る難敵だ。
その韓国が唯一、敗れたのが日本。韓国もその雪辱も期して、臨んでくるだろう。
「シーズンを通して、正直、こんなにショットが決まらなかったことはなかったです。いつもなら、(展開が)駄目なら私のところで壊して、大丈夫だったら私のところで決めればいいからと声をかけているのにそれも言えませんでした」
と、スイス戦を振り返って涙を流した吉田知那美は、残る2試合へこう決意を固める。
「さっき戦ったスイスのチーム、ほかのチームもみんなプレーオフに行くことを信じて戦っていたチームです。こんな状態でプレーオフに私が出たらすごく失礼なので、しっかり、落ち着いて、思い切りやりたいと思います」