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青木宣親の挑戦が残した功績とは。
肉体の違いに抗ったメジャー6年間。

posted2018/02/07 11:30

 
青木宣親の挑戦が残した功績とは。肉体の違いに抗ったメジャー6年間。<Number Web> photograph by Kyodo News

メジャーのFA市場停滞も受けて、7年ぶりにヤクルト復帰を決断。背番号は入団時の「23」。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 ノリ・アオキがメジャーリーグに残したもの。

 メジャー歴5年と148日(172日で1年と換算する)で2716打数774安打、打率.285、出塁率.350、長打率.387。33本塁打、219打点、377得点、98盗塁。

 青木宣親が我々に残したもの。

 ポスティング制度を経ての「メジャー挑戦」。実際はブルワーズでの屈辱のテスト入団。控え選手から定位置の獲得。ロイヤルズへのトレードとア・リーグ優勝。ジャイアンツでの死球禍。マリナーズでのマイナー降格からのメジャー復帰。アストロズでの日米通算2000安打達成とブルージェイズへのトレード。自由契約からのメッツ移籍。そして、7年ぶりの日本球界=ヤクルト復帰。

 ある意味、用意周到な「メジャー挑戦」だった。挑戦する数年前からメジャーの投手たちのビデオを見まくったとか、英語を勉強したとかいうことではない。

 早くから和食のない食事環境を考えたり、日本文化なき町での生活を考えたりして、「メジャー挑戦」を具体的に想像し、「アメリカで生きる」ことを意識した。

1年目は「自分のスイングができなかった」。

 1年目、控えから定位置を獲得する過程で打率.288、10本塁打、50打点という数字を残した。いずれもメジャー6年間で最高だが、これにはちょっとした錯覚もある。

 同年の520打数150安打は「当て逃げしたのも含めての数字」。

 本人がきっぱりとそう言うには理由があった。日本の投手たちよりも平均的な球速があり、手元で微妙に動いてくるメジャーリーガーの投げる球に「自分のスイングができなかった」。必死に食らいつく粘りの打撃が持ち味であるイメージだが、1年目の55三振はメジャー6年間で最多である。

 メジャーリーガーはとにかく、「自分のスイング」にこだわる。

 中途半端に打たされるぐらいなら、「自分のスイング」をして詰まった方がいい。最初は首を傾げたが、詰まった当たりが内野の頭を越え、内野手の間を抜けていくのを目の当たりにすると考え方も変わる。

 1年目の内野安打は37安打。ロイヤルズにトレードされてジャスティン・バーランダーやマックス・シャーザーとの対戦が増えた3年目は、29安打に減った。

【次ページ】 メジャーが肉体改造に本気になった時期と重なった。

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