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ドルトムントが警戒する地方クラブ。
セリエA下位から、2年でEL決勝Tへ! 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/12/28 07:00

ドルトムントが警戒する地方クラブ。セリエA下位から、2年でEL決勝Tへ!<Number Web> photograph by Getty Images

強面の監督も多いセリエAにあって、懐の深い人心掌握を見せるガスペリーニの存在感は際立っている。ビッグクラブにいつ引き抜かれてもおかしくない。

攻撃偏重は欧州で通用しないという下馬評を覆して。

 グループEの主導権を握ったアタランタはその後も首位をキープし、5節では敵地ながらガスペリーニ流アタックを爆発させ、エバートン相手に5-1の大勝を挙げて決勝トーナメント進出を決めた。

 リヨンをマペイ・スタジアムに招いての最終節は、首位突破をかけた決戦になった。

 戦術の鬼と化したガスペリーニは、選手の疲労度や戦況に合わせて先発布陣3-4-1-2から3-4-3、4-4-1-1を経て4-5-1へと、3度もシステムを流動的に変更した。攻めの守りで1-0の完封勝ちを収め、グループ首位通過をもぎ取った。

 若手中心の攻撃偏重サッカーは欧州レベルでは通用しない、という下馬評を覆しながら、アタランタはグループリーグ6戦で勝点14を積み上げた。

 実質的に初出場の彼らが、EL本戦出場全48チーム中2番目に多い勝点を叩き出すという快挙を成し遂げたのだ。UEFAクラブランキングは、開幕前の127位から92位にまでジャンプアップしていた。

「私が“(突破は)いける”という手応えをつかんだのは、エバートンとの初戦に勝ったときだ。うちは今、大きな経験と自信を手に入れたよ」

主力をごっそり引き抜かれても、何度でも育てる。

 この年末、ガスペリーニは伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の「コーチオブザイヤー」表彰を受けた。昨季のセリエA4位躍進と今季ELグループリーグ首位通過、戦術的な攻撃サッカーの実現、そして有力な若手の大量輩出実績を評価されての選出だった。

 表彰の際、ガスペリーニは「若い選手たちをじっくり指導できる環境があるからここに来た」と育成王国アタランタの健在ぶりを強調した。

 MFケシエにDFコンティ(ともに現ミラン)、MFガリアルディーニ(現インテル)といった昨季の主力たちはごっそり引き抜かれたが、ガスペリーニは今シーズンの新チームの軸に新戦力のMFイリチッチや出戻りMFデローンを組み込みながら、他のクラブで芽が出なかった元有望株の再生にも取り組んだ。

【次ページ】 自分はこのチームにとってオンリーワン、という感覚。

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