サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
最後に決まったのは4年以上前……。
三浦淳寛が推す代表のFK候補者は。
posted2018/01/04 11:30
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
AFLO
公式記録の得点経過欄を確認する。ない。
ページをめくって、1つ前の試合を確認する。ない。
めくる、ない。めくる、ない。めくる、ない。
ひたすら単純作業を続けること59試合目。ようやく、あった。2013年9月6日、キリンチャレンジカップ・グアテマラ戦の76分に、遠藤保仁が決めていた。
日本代表の、直接FKによるゴールである。
かつては木村和司、名波浩、中田英寿、小野伸二、中村俊輔、遠藤、小笠原満男、本田圭佑などなど。日本代表には、FKの名手が数多くいた。苦しい展開でも、彼らの一撃が試合の流れを変え、接戦をものにしてきた。'10年の南アフリカW杯では、本田と遠藤による2つの直接FKが、日本をベスト16に導いている。
ところが、現在の日本代表は深刻なプレースキッカー不足に陥っている。冒頭で調べたとおり、最後にFKで直接ゴールが決まったのは4年以上前。アギーレ体制でも、ハリルホジッチ体制でも、1本もFKによるゴールは決まっていない。
三浦淳寛「現在の代表には名乗り出る選手すら少ない」
なぜ“FK大国”は、“FK貧弱国”に成り下がってしまったのか。その要因を探るために、ある人のもとを訪ねた。
三浦淳寛。言わずと知れたFKの名手である。多彩な球種を蹴り分け、日本におけるブレ球FKのパイオニアでもある。'99年のコパアメリカ・ペルー戦では、見事に直接FKを突き刺している。
三浦氏に今回の取材テーマを伝えると、少し寂しそうな、少し悔しそうな表情で、語り始めた。
「4年以上も代表戦でFKによるゴールが決まっていないということは、日本のトップレベルにおいてセットプレーへの意識、重要度が落ちている証拠だと思います。世界レベルの相手と対戦したとき、フィジカルのぶつかり合いではまだまだ勝てない。そんな中で、セットプレーは唯一、誰にも邪魔されないでボールを蹴ることができる。南アフリカW杯で証明したように、日本が世界で勝つために、この武器を活かさない手はないんです。それなのに、現在の日本代表にはキッカーに名乗り出る選手すら少ない」