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アシックス取締役が語る靴の秘密。
「研究の積み重ねが一番の強み」
posted2017/11/02 16:40
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Ichisei Hiramatsu
2017年度上半期の売上高約2000億円のうち、83.7%がスポーツシューズ類。
「全体の売上の65%くらいは、ランニングシューズになりますね」
そう語ったのは、株式会社アシックス グローバルスポーツマーケティング統括部長 兼アシックスジャパン株式会社取締役の松下直樹氏。10月26日、「Number Sports Business College(NSBC)」第14回のゲストである。
アシックス社は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの国内最高位スポンサーである「ゴールドパートナー」であり、今年8月にロンドンで開催された世界陸上では、陸上競技連盟のオフィシャルパートナーとして、大々的なプロモーション活動を展開。また、早稲田大学と提携して“日本版NCAA”の実現に取り組むなど、スポーツ産業の活性化に積極的に関与する企業の1つである。
講義で松下氏は、同社の多岐にわたる事業展開を受講者たちに説明。そこで、アシックスのブランド戦略について話が及んだ時、NSBC発起人にして“アシックス愛好家”である池田純氏が、松下氏に言葉を投げかけた。
アシックスを支える「スポーツ工学研究所」。
池田 今もアシックスの靴はよく履いていますし、ボクシングをやっていた頃、シューズはアシックス一択でした。他のブランドのボクシングシューズとは性能とか履き心地が圧倒的に違いすぎて。本当に、アシックスの靴は履きやすい。
松下 ありがとうございます。
池田 もし、日本で「趣味はランニング」という人に、「あなたの好きなランニングシューズのブランドは何ですか?」と聞くと、どれくらいの割合がアシックスと答えるんですか?
松下 ランニングの好きさ度合いにもよりますが、我々が「コアランナー」と呼ぶランニングに本格的に取り組んでらっしゃる方々だと、半分に近いものはあるかな、と推察しています。ただ、これからランニングを始めようとしているエントリー層の方々にしてみれば、アシックスのシューズは中・上級者向けで敷居が高いというか、手に取りづらいところもあって、「ちょっと走り慣れてからアシックスに」と考えるランナーの方も一定数いらっしゃるようです。
池田 アシックスの強みは、やはりテクノロジーですか?
松下 今日も朝から、新しく当社のアンバサダーとなりました室伏広治さん(ハンマー投げアテネ五輪金メダリスト、ロンドン五輪銅メダリスト)と一緒に、兵庫県のスポーツ工学研究所に行ってきました。神戸市営地下鉄の終点・西神中央駅が最寄りの、いかにも研究所といった施設ですけど、あらゆる素材の耐久性実験など、そこで日々研究されていること、その積み重ねが我々の一番の強みであることは間違いないです。
池田 その研究の積み重ねによって、僕たちはこうして履きやすい靴を履くことができる。
松下 当社の製品をご紹介いただく際、「日本人の足に合う靴」といったフレーズがよく使われますが、ただ、最近の若い方は、「日本人の足型」を変えるかもしれないんです。
池田 どういうことですか?