プロ野球亭日乗BACK NUMBER
DeNAの逆転に必要な3つのポイント。
データの再検証、1番打者、継投策。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/10/30 13:30
ラミレス監督の存在がDeNAにとって支えになっていることは間違いない。柔軟な発想で短期決戦をどう戦うか、見ものである。
柳田に対しても、勝負球を外に変えている。
「ピッチャーの良いボールをどう使っていくかということを考えた」
戸柱が言うように2、3打席目はいずれも低めのカーブで三ゴロに、スペンサー・パットン投手に代わった7回1死一、二塁では外角に流れるスライダーで空振り三振と抑えることに成功している。
この配球を変えて成功するパターンは、1番の柳田悠岐外野手に対する攻めでも同じだった。柳田は初戦いきなり内角のストレートに、詰まりながらも中前に落として先制の口火を切った。内角や高めの球は多少ボール気味でも力で押し込めるパワーがあるので、こういう安打が生まれてしまう。第2戦の第1打席もインコースのストレートを事もなげに右前に弾き返されたため、2打席目からは内角を見せ球に外のボール気味の変化球で勝負するパターンに変えて成功している。
改めて1、2戦で得た生の情報をどう再整備して3戦目以降に活かせるか。そこが逆襲へのカギとなることは間違いないだろう。
【打線の再編】
第2戦では梶谷、宮崎に一発が出て、主砲・筒香嘉智外野手も二塁打を含む2安打とシリーズ初安打も生まれた。
「打線は当たっている」とラミレス監督は自信の表情を見せたが、ひとつだけ問題があるのはリードオフマンの桑原将志外野手のスランプだ。
広島とのCSファイナルステージでは打率3割6分4厘、1本塁打と活躍を見せた桑原だが、日本シリーズ2試合は9打数で安打は0。しかも第2戦では4三振と全くタイミングが合っていない。
「ムードメーカーで、アイツが打つとチーム全体が乗ってくる。短期決戦ではキーマンのひとりになる」と中畑清前監督が語っていたが、そのムードメーカーが全く乗れていないのだ。逆にソフトバンクの方は1番に入った柳田が1、2戦のいずれも第1打席に安打を放ってチームを波に乗せているのとは対照的。結果的にはこの1番打者の差が勝敗の差となっていると言っても過言ではないだろう。
ただ、問題は桑原に代わる1番打者がいないということだ。シーズン中のラミレス監督は選手を信頼して、不調でも使い続けることで再生させる監督でもある。今季の桑原もスランプはあったが、全試合1番で起用することでここまで成長してきた選手である。
ただ、短期決戦は1度の我慢が致命傷になる事もある。そう考えると、例えば初戦で2安打した9番・倉本寿彦内野手と入れ替えるというのも1つのアイデアではないだろうか。